初めに2011/04/02 11:58



読者の便宜のためにAmazonへのリンクを貼っておきますが、積極的に購入を勧めるものではありませんので。一応。

なお、洋書の場合、為替レートの状況によっては、紀伊国屋あたりから英ポンド建てで買った方が安かったりすることもあるようです。参考にして下さい。

MotoGP Technology2011/04/09 12:15



オートバイの世界グランプリ(MotoGP)を走る、レース用のバイクを解説した本。

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どこかのオートバイ雑誌で、「たまにはこういう本も読んで、勉強しましょう」といった感じで、紹介されていた本だそうだ。
たまたま知人が持っていたので、お借りして読んでみた。

実のところ、あまり熟読はしなかった。
熟読する類の内容ではないと思ったのだ。
「テクノロジー」と表題にあるが、技術解説ではない。どちらかというと「フィーチャー」つまり雑誌的だ。

他人が作った物を、部外者の視線で眺めながら、伝聞情報を総合することで、実体として描こうとする。辻褄が合ってなかったり、誤りもありうる。言う事が途中で変わったりとかも。
まあ、誘導や流布といった悪意はないので救われるが。その辺にありがちな記事と違って。

そうではなくて、そう言う細かい事抜きで、井戸端会議的に
  「へーそうなの?」
  「スゲー!」
などとやりながら、めくって行く本じゃないかと思う。
写真はキレイだし、レイアウトも凝っていて、眺める分には見応え十分だ。

MotoGPが好きな人が、記録として手元に置くにはいい本だと思う。
ただ、何年かした後に、もう一度、記事として読む気には、ならないかもしれない。


Amazonはこちら
洋書
Motogp Technology: The Official Book
和書も出たようだ
MotoGP進化論—世界最高峰のレーサーを完全解析

100 Years of Motorcycles2011/04/09 17:24



題名は「バイク100年史」だが、それほど堅苦しい内容ではない。主にイギリスの、バイクにまつわる風景の写真集、といった趣の本。

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Amazonで見つけたのだが、妙に安かったので(¥1.5kくらい)、勢いで買って見てみた。

網羅する範囲は広い。
いろんな人が映っている。

戦争があって、軍隊崩れがいて・・・
レースがあって、技術の向上があって・・・
刺激が欲しい人、変な人、ヤバイ人、ただ足で使う普通の人、
いろんな人がいて・・・
モッズ、ロッカーズ、ヒッピー、
有名人、モデルさん、レーサー、貴族から女王様、
広告、商売人、警察も・・・
そして当然、マン島TT。

ああ、(イギリスの人は)こうやってバイクに乗って来たんだなあ、という飾らない情景が、300ページ近く続く。
めくっていて飽きない。これならお買い得である。

同じようなクオリティで、日本版があったら是非欲しい所だが。
どなたか、そういった本をご存知の方、いらしたら、教えて下さい。
(コメントに書き込んで下さい。)


Amazonはこちら
100 Years of Motorcycles: Twentieth Century in Pictures

禅とオートバイ修理技術2011/04/10 15:43



これを「バイク関係の本」と言ってしまっていいのか、微妙な所だ。
実質的には、「哲学小説」などと言えるだろうと思う。
副題は「価値の探求」。
内容は「本質と価値についての論考」といった所だ。

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哲学とは何か。
簡単には、自分が何を考えているのか、考えること、だと思う。

これは、私のように、バイクという、命に直接関わるような乗り物を、日頃から嗜好している方々には、親しみがある行為ではなかろうか。
何しろ、真面目に考えず、いい加減に乗っていると、死にかねない。

それに、私だけなのかもしれないが、実際この歳になっても、わからないことというのは、結構、多い。


真実には到達し得ないと言いながら、それが一つだとか、不変だとか言えるのは何故だ。

合理性を絶対視するのは、合理的なのか。

何かを知らないことを知っていれば、知ろうとしなくていいことになるのか。

何かが何かを意味するということに、どんな意味があるのか。

もっともな理由があるというのは、何かの理由になるのか。
特に、死んじまうかもしれないって時に。


考えるという行為は、ひたすら自分を追い込むということで、実際、大変なエネルギーを要する。並大抵の真面目さや、まして他人からの強制などで進められるものではない。正面からの力押しだけでは行き詰まることもある。そんなとき、極度の緊張と集中が、身震いするような解放をもたらす瞬間があるものだが、あの、ライダー諸氏ならご存知の、覚悟と表裏をなす突破への欲求、それと同じような何かが、静かなスピード感でもって、描かれているように思える。

これを読んでも、たぶん霧は晴れないが、霧の向こうを睨もうと努めるのは大切だ。少なくとも、そのことくらいは、思い出させてくれる。

まあそこまで思い込まずとも、日頃、トップの文句ばかり言っている癖に、ひたすらトップダウンを待つだけ、のようなマヌケには、少なくとも、ならずには済むかもしれない。


Amazonはこちら
禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)
禅とオートバイ修理技術〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

洋書(原典)も在る。安い! ¥600とかそんなん。
英語だけど、思った程は難しくないので、腕試しにいかが。
Zen and the Art of Motorcycle Maintenance: An Inquiry Into Values

実は続編もあるようだ。翻訳は、まだないらしい。
Lila: An Inquiry Into Morals

BRITTEN motorcycles2011/04/23 07:42


ゼロから独力でバイクを作り上げ、レースシーンで数々の戦績を残したJohn Britten氏の足跡

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どんなバイクに乗っていても、何かしら気に食わないことは必ずあるものだ。
新しい機体を選ぶとしても、丸ごと全部気に入って、というのは(妄信でもない限り)ないものだ。

全て自分の好みで、バイクを作ったらどうなるだろう。

好き者なら一度は見た夢ではないだろうか。

それを、完遂した男が居る。
John Britten 。

彼自身がどういう男で、
どういった経歴を経て、
これを成し遂げるに至ったか、
この一冊で、概観できる。
「人生」を語る内容であり、多分に解釈に依存するので、ここでは詳述は避ける。

モノの方、バイクの特性については、以前、別に記事を書いた。
 → ☆ ブリッテン
動画(ビデオ)も出ているので、資料として参考にした。
「ひたすら軽く」を理想(目的)にしていたように見えるが、「それだけでは解決しない」こともある上に、「それ故に新たに抱える問題」もあり、なかなか難しい、簡単には行かない・・・そう感じさせていた。
(ドカに移籍したロッシ辺りの苦悩にも、同種の何かが見える気がする。)

モノも人生も悩むは同じ、ということかもしれない。


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Britten Motorcycles: The John Britten Story