禅とオートバイ修理技術2011/04/10 15:43



これを「バイク関係の本」と言ってしまっていいのか、微妙な所だ。
実質的には、「哲学小説」などと言えるだろうと思う。
副題は「価値の探求」。
内容は「本質と価値についての論考」といった所だ。

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哲学とは何か。
簡単には、自分が何を考えているのか、考えること、だと思う。

これは、私のように、バイクという、命に直接関わるような乗り物を、日頃から嗜好している方々には、親しみがある行為ではなかろうか。
何しろ、真面目に考えず、いい加減に乗っていると、死にかねない。

それに、私だけなのかもしれないが、実際この歳になっても、わからないことというのは、結構、多い。


真実には到達し得ないと言いながら、それが一つだとか、不変だとか言えるのは何故だ。

合理性を絶対視するのは、合理的なのか。

何かを知らないことを知っていれば、知ろうとしなくていいことになるのか。

何かが何かを意味するということに、どんな意味があるのか。

もっともな理由があるというのは、何かの理由になるのか。
特に、死んじまうかもしれないって時に。


考えるという行為は、ひたすら自分を追い込むということで、実際、大変なエネルギーを要する。並大抵の真面目さや、まして他人からの強制などで進められるものではない。正面からの力押しだけでは行き詰まることもある。そんなとき、極度の緊張と集中が、身震いするような解放をもたらす瞬間があるものだが、あの、ライダー諸氏ならご存知の、覚悟と表裏をなす突破への欲求、それと同じような何かが、静かなスピード感でもって、描かれているように思える。

これを読んでも、たぶん霧は晴れないが、霧の向こうを睨もうと努めるのは大切だ。少なくとも、そのことくらいは、思い出させてくれる。

まあそこまで思い込まずとも、日頃、トップの文句ばかり言っている癖に、ひたすらトップダウンを待つだけ、のようなマヌケには、少なくとも、ならずには済むかもしれない。


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禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF)
禅とオートバイ修理技術〈下〉 (ハヤカワ文庫NF)

洋書(原典)も在る。安い! ¥600とかそんなん。
英語だけど、思った程は難しくないので、腕試しにいかが。
Zen and the Art of Motorcycle Maintenance: An Inquiry Into Values

実は続編もあるようだ。翻訳は、まだないらしい。
Lila: An Inquiry Into Morals

コメント

_ まーに ― 2013/07/18 00:11

理系な私もコゾーのころ、「禅」と「オートバイ」に惹かれて読もうかと
思ったことがありますが、頭いい既読者の意見はAmazonレビュー
とは全く異なり、「ケルアックのビートニクの連中やヒッピーの連中の
哲学拠り所に見えるが、朝鮮戦争やベトナム戦争の対策の人格改造
セミナー臭さプンプンだそうでした。それ聞いて、私は読んでいません。
ま、いろいろ出版には裏があるものですよ。

_ ombra ― 2013/07/30 21:34

それは、ウラではなくて、オモテではないですかね。(笑)

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