冬の音楽 ~ 「 Sounds of Wood & Steel 2 」 ― 2012/02/04 07:33
冬の音楽といえば、ギターもいい。
スチール弦の、いわゆるフォークギター。
一本だけで爪弾く、インストルメンタル。
またはそれに近い、シンプルな構成。
暖炉の前でくつろぐイメージで、ゆったりと聴ける。
お手軽だが、たまに思い出して、聴きたくなる。
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数百円て・・。安っすいなあ・・。
Sounds of Wood & Steel 2
「流れ」 ― 2012/02/04 08:53
流れがかもし出す不思議について解説する
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水や空気などの「流れ」は常に身近にあって、流線や渦などを見たり、感じたりしている。(例えば 雲 とか)。しかし、それが「どうなってんのか」は意外と考えないものだし、わかってもいない。
この、捉えどころのない「流れ」が、どうして規則的な文様をつくるのかとか、昔から人々はこれをどのように考えて来たのか(絵画の中でどう使われたか等)のような話を、読み物としてまとめた本だ。
流体力学的な話も含まれるのだが、情報の精度としては多少いい加減だ。例えば、レイノルズ数の解説や使い方は、微妙に間違っているようにも見える。無論、N-Sの式が解けるようになるわけでもない。解けないことがわかるだけだ。
でもそんなのは、規則的な渦の写真の奇妙さや、キノコとクラゲと地下のマントルの形が似ているとか、鳥や魚の群れが作る模様の不思議といった話を、面白く読むのには何の支障にもならない。交通渋滞のモデルの話なんかもあって、少しは実地の役にも立つ。
しかし、基本的には酔狂の本だ。たまには、「規則的な乱流」という矛盾や、粒子と流れの間なんかを、たゆたってみるのもまた楽し。そんな本だと思う。粒子と流れ、各論と統計論、個人と組織、質量とエネルギー、みんな同じだなあ・・・とか。最後のはちょっと違うか。
流れの可視化は、一時期は少し流行ったように思うが。もう、さほどは取り上げられなくなったようだ。個人的には、時間とか、意識とか、そんなウヤムヤなものの流れも、もし可視化できたら面白いのに・・・と思っていたのだが。(ツールを作ったら売れるかな?。)
本書に戻るが、あまり見かけない専門用語が少なくないので、索引は欲しかった。そこは、本文検索ができる電子書籍の方が便利そうに思った。
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流れ: 自然が創り出す美しいパターン
「 Laverda: Twin and Triple Repair and Tune-up Guide 」 ― 2012/02/05 06:08
Laverdaの整備本
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好評連載中(?)のラベルダだが。
今回は、整備関連の情報をまとめた本を取り上げる。
750ccツインと、その後の3気筒の二機種、つまり「大きい方」の、メカニズムと整備の詳細を紹介している。ヘインズの整備本よりも詳しくて親切、でも、いつぞや紹介した MOTO GUZZI の本 ほどは詳細でない、というレベル。実際に、機体を前に自分で手を動かそう、という方々だけでなく、手を出してしまった後に備えたい、という気の早い方にもお勧めである。
ここでは、ラベルダの機械的な構造を学び、評価する、という目的で取り上げてみる。
本書の内容だが、以下、適当にピックアップする。
(写真は順不同。)
まずは簡単なモデルヒストリーと、各モデルのスペックの紹介。
続いて、基本整備の情報。
オイルレベルチェック。シリンダーの背面にあるんだ・・。
次は、ディープな整備情報。
行くぜ、バランバラン!。
ツインのヘッドですが、カムの支持はボールベアリング。
中身まで、某CB72(77?)そっくり・・。
あちこちチェーンなので、マメな整備が要りそうな印象。
3気筒のヘッド周り。
ツインカム化と同時に、カムの支持はプレーンメタルに変わっている。
キャブ周りはこんな感じ。
おなじみの風景(?)デロルトなので。
3気筒のシリンダー構造。
外からは見えないが、カムチェーンはこの位置にある。
2気筒のクランク。組立て式で、支持はボールベアリング。
3気筒のクランク。構造は2気筒と同じ。
ちなみに、クランクケースは上下分割。これも、2/3気筒で同じ。
2気筒のフレーム。
エンジンを当てにしていない分、ベベルよりは強そうかな・・?。
3気筒のフレーム。オーソドックス。
あとは、電装周りの情報(配線図とか)が載っていて、本書は終わり。
ざっとまとめると。
構造としては、非常にコンベンショナルな印象。予想通り。
2気筒→3気筒で、実は基本はさほど変わっておらず、ツインカム化などフィーチャーはupdateしているものの、ほぼ発展形の域。これは少し意外。(もっと大規模に作り直したのかと思い込んでた。)
グッチと比べると。
機械としては、ちょっと頼りない感じ。これも予想通り。
構造は簡便、機構は古典的、だが乗った感じは全く違う。そこは少し、似ているかな?。(イタ車は大概そんなだが。)
あまり機械技術に達者な設計ではないように見える。
ということは、ラベルダの「情熱」は、機械的な、単純な仕組みから来るものではない、と思われる。
ではそれは何なのか、どこから来るのか、見分けるのが、次の課題となろう。
乗った感じの面白さは、多元的な要因が有機的に影響するので、構造(写真や図面)や、スペック(カムのタイミングとかキャブやジェット類の径とか)を眺めただけではわからない。察しはつくかもしれないが、要は「ただの想像」なので、実際には間違っていることがままある。(想像だけで、ウソを言っている人が多い。)逆に、機構やスペックがすごくても、乗って楽しいとは限らない例が、これまたがすごく多いことが、それを如実に証明している。
この本を眺めていて、ひどく印象に残るのは、写っていたのが、ひたすらに「愛されている」機体で、中まで、すんごくキレイだったことだ。(笑)
自分で、ここまでできるのかは、ちょっと微妙だ。
・・・というのは、よくわかった。
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Laverda: Twin and Triple Repair and Tune-up Guide, the New Green Book
読書ログ 「考えの整頓」 ― 2012/02/11 11:19
ふと目にした情景を、考え込んでみた短編集
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NHK教育で、「ピタゴラスイッチ」という一風かわった番組がある。子供に付き合ってNHK教育を見ている親なら、知っているかもしれない。著者は、その辺りの一連の番組(「0655」とか)の作者、とのことだ。
本書は、その著者が日ごろ触れる情景について、考えをめぐらす様子をまとめた短編集だ。元は雑誌の連載で、人気が出たので今回まとめて出版された、とのこと。いわゆる書評にもよく取り上げられていて、人気の本だそうだ。
映像にかかわる人なので、見たもの聴いたものを、(自分が)どう感じたか、(他人が)どう感じるものか/感じさせるか、について書いている。筆致はゆるやかでわかりやすいし、本としても余白が多く活字の密度が低いので、圧迫感なくゆったり読める。
著者の、自分の頭の中を正確にリプレイする能力には驚く。まるで、ビデオを巻き戻して再生するかのように、何を見て、何を感じたのか、意識の裏の奥まで含めて、その時の様子を正確にプレーバックするのだ。記憶の再生を何度も繰り返しつつ、「感じたこと」の詳細を解き明かそうとする。
一般的には、認識の不確かさや突拍子のなさは、「いけないもの」扱いが多いと思うが。筆者は、その意外さ、新鮮さが、面白くて仕方ないようだ。そういったアスペクトを探し出しては、丸ごと無邪気に楽しんでしまう。
その過程で、あちらこちらと思考を飛ばす、その移ろいの自由さ加減は、読んでいても爽快だ。読者の目線からも、ああ、楽しいんだろうなあ、と思わせる。
で、「わかった」ことの証として、何らかの理由付けがされるのだが、そこはどうも、こじつけじみて見えることが少なくなく、個人的には、腑に落ちるお話はあまりなかった。いつもお話の最後に来てしっくり来ないのは、なかなかに残念だったが。
もう少し、核心に迫るようなトラクションがあれば、お話としてもキラッと光るのでは?と思うのだが。
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考えの整頓
バイクの本 ~ The Laverda Twins & Triples Bible ― 2012/02/12 05:15
The Laverda Twins & Triples Bible: 650 & 750cc Twins - 1000 & 1200cc Triples
Laverda大型車種の解説本
######
今週で、ラベルダの連載もおしまいにする。
最後に、一番 一般的な資料を取り上げたい。
この著者は、グッチやドカなど、同様の著書が多数あり、本書はその一つである。Mick先生や小関先生のように、記憶ベースの当時の噂と、スペックの数字で何かを語ろうとするのではなく、過去の資料を再度当たったり、当時の関係者に取材したり、実際に自分で乗ってみたりした上で、新たに記事を書き起こす。バイクが出た当時の情報や印象だけではなく、今の視点からの俯瞰も交えるスタイルだ。通論(風評?)と違うという意味で、悪く言えば独断だが、自力で真面目に書いているので、最も信頼に足る資料とも言える。
内容は、
・モデルヒストリー (レースのヒストリも少々)
・各モデルの開発の経緯や、スペックの詳細
・関係者(経営者、設計者、販売者やユーザー)の意図、意向、意見など
・近年に撮ったものとおぼしき、美しいカラー写真
どんな状況下で、誰がどういうつもりで何を造って、結果、どうだったか。今、Laverdaの全体をざっくり見渡したいなら、この本が一番便利だと思う。
ただし、取り上げているのは750ccツインと3気筒の旗艦モデルだけで、500ccのミドルツインは含まれない。
目次
全150ページ程度だが、扱いを2気筒/3気筒に絞っているので、内容は充実している。ちょいとひと手間かければ、ありがちな30分番組の1クールも作れようか、という内容だ。(笑) 雑誌界で悪用されないで済んでいるのは、ラベルダの、市場でのパイの小ささ故だろう。
アスペクトが豊富なので、読者自身の視点次第で、いろんな読み方ができる本でもある。
・開発物語として
なぜホンダをパクったか、クランクが180→120度に変わったのはなぜか・・。開発者の移り変わりと、その背景、影響などを読み解く。
・経営の物語として
イタリアの、個人経営の小さなメーカーが、日本車の怒涛の構成に対し、どう勝負してきたか。
・年式・型式調査
自分が買おうとしているのが、何年式のどのモデルなのかを調べたい人。
・パラパラめくって写真を眺める
やっぱSFCはカッコいいよね~と。(笑)
昔のバイクはスリムでよかったなあ・・・。
(当時の「カッコよさ」のエレメントをよく体現している、と言っているだけで、評価誘導の意図はありませんし、お勧めしている訳でもありませんので。)
さて。
ラベルダの「本当」や「意図」について、こうだ!のような物言いは、結局はできなかったが。
(乗った経験がないので当然。)
もし、ラベルダの本当をご存知の方がいらしたら、ぜひ情報を発信して欲しい。(コメント欄にでも、何かいただければ僥倖です。)
Amazonはこちら
為替相場のせいか、Amazonがお腹すかせているのか、最近、価格の上下が大きいようだ。本書がそうなのかは凝視していないのでわからないが、洋書はしばらくウオッチして、底値を狙うのが吉かもしれない。
The Laverda Twins & Triples Bible: 650 & 750cc Twins - 1000 & 1200cc Triples
Laverda関係では、他にMick Walker先生の資料もあるのだが、この人の著作は「通り一遍でウソもあり」が多いので、よほど困ったとき(?)意外はお勧めしない。
Laverda大型車種の解説本
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今週で、ラベルダの連載もおしまいにする。
最後に、一番 一般的な資料を取り上げたい。
この著者は、グッチやドカなど、同様の著書が多数あり、本書はその一つである。Mick先生や小関先生のように、記憶ベースの当時の噂と、スペックの数字で何かを語ろうとするのではなく、過去の資料を再度当たったり、当時の関係者に取材したり、実際に自分で乗ってみたりした上で、新たに記事を書き起こす。バイクが出た当時の情報や印象だけではなく、今の視点からの俯瞰も交えるスタイルだ。通論(風評?)と違うという意味で、悪く言えば独断だが、自力で真面目に書いているので、最も信頼に足る資料とも言える。
内容は、
・モデルヒストリー (レースのヒストリも少々)
・各モデルの開発の経緯や、スペックの詳細
・関係者(経営者、設計者、販売者やユーザー)の意図、意向、意見など
・近年に撮ったものとおぼしき、美しいカラー写真
どんな状況下で、誰がどういうつもりで何を造って、結果、どうだったか。今、Laverdaの全体をざっくり見渡したいなら、この本が一番便利だと思う。
ただし、取り上げているのは750ccツインと3気筒の旗艦モデルだけで、500ccのミドルツインは含まれない。
目次
全150ページ程度だが、扱いを2気筒/3気筒に絞っているので、内容は充実している。ちょいとひと手間かければ、ありがちな30分番組の1クールも作れようか、という内容だ。(笑) 雑誌界で悪用されないで済んでいるのは、ラベルダの、市場でのパイの小ささ故だろう。
アスペクトが豊富なので、読者自身の視点次第で、いろんな読み方ができる本でもある。
・開発物語として
なぜホンダをパクったか、クランクが180→120度に変わったのはなぜか・・。開発者の移り変わりと、その背景、影響などを読み解く。
・経営の物語として
イタリアの、個人経営の小さなメーカーが、日本車の怒涛の構成に対し、どう勝負してきたか。
・年式・型式調査
自分が買おうとしているのが、何年式のどのモデルなのかを調べたい人。
・パラパラめくって写真を眺める
やっぱSFCはカッコいいよね~と。(笑)
昔のバイクはスリムでよかったなあ・・・。
(当時の「カッコよさ」のエレメントをよく体現している、と言っているだけで、評価誘導の意図はありませんし、お勧めしている訳でもありませんので。)
さて。
ラベルダの「本当」や「意図」について、こうだ!のような物言いは、結局はできなかったが。
(乗った経験がないので当然。)
もし、ラベルダの本当をご存知の方がいらしたら、ぜひ情報を発信して欲しい。(コメント欄にでも、何かいただければ僥倖です。)
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為替相場のせいか、Amazonがお腹すかせているのか、最近、価格の上下が大きいようだ。本書がそうなのかは凝視していないのでわからないが、洋書はしばらくウオッチして、底値を狙うのが吉かもしれない。
The Laverda Twins & Triples Bible: 650 & 750cc Twins - 1000 & 1200cc Triples
Laverda関係では、他にMick Walker先生の資料もあるのだが、この人の著作は「通り一遍でウソもあり」が多いので、よほど困ったとき(?)意外はお勧めしない。
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