バイクの本 ~ 「サハラとわたしとオートバイ 堀ひろ子」 ― 2012/02/26 07:01
先週のと一緒に借りた本だ。
刊行は、一年後の1983年。
この人が「砂漠を走った」とはおぼろげには聞いていたが、サファリラリーなんかのラリーレイドに出たわけではなくて、自分でツーリングを企画・実行したのだと初めて知った。
この本は、その準備の過程から、実際の行程までを、詳細に記録した本だ。
四輪ではサファリラリーで健闘する日本車が60年代から居たし、この当時は既にパリダカも始まっていたので、「砂漠でバイク」初のパイオニア、というわけではない。砂漠をバイクで走るという着想も、オリジナルではなかったろうと思う。しかし、砂漠という以前に、アフリカは当時も治安が悪かったし、こんな願いを実行に移せるのは、この人のバイタリティならではだろう。
いくらなんでもバイク単独ではムリなので、四輪が併走する。(そのメンツが、この後の砂漠行~パリダカとか~でおなじみになる面々で笑わせるが。)
バイクは二台、両方ともライダーは女性、という陣容。
その道のりの詳細はここでは記さないが、世界中をツーリングして回っていた彼女をしても、相当な困難と危険を伴うものとなったようだ。
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その昔、
まだ、砂漠を疾走するバイクの映像が真新しかった頃。
その映像を見た私の印象に強く残ったのは、「自由感」と「自立感」だった。
やれバイクは自由だ反骨だ、といくら力んでみた所で、所詮は既成の道をなぞっているだけ。サーキットでも公道でも同じなのだ。
誰かが作った道の上を、誰かが作ったバイクに乗って走る。ただ、それだけのこと。
しかし、砂漠は、違ったように見えたのだ。
「どこを走ってもいい。でも、自力で。」
舗装の上だけの自由?。
それまで、もやもやと感じていたその矛盾を、私は、パリダカのテレビ映像の中に、くっきりと見たのだ。
パリダカちっくな大型オフ車が数、ラインナップされていた頃。
あの大きく誇らしげな車体は、その自由感、自立感、どんな道でも独力で走って行ける、その能力の証のように見えたのだ。
「そんなワケないでしょ。」
なにせ本書には、その詳細なエビデンスが、これでもか、と並べられる。
都会の隅で疲れたオヤジの、都合のいい夢想なんかはケシ飛んじまう。
そうだった。
パリダカバイクは、デカくて重くて、自由でも自立でも、何でもなかった。
「水、積まないと。」
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もう一つ。
「砂漠は人間を変える」と聞く。
彼女は、変わったろうか?。
いや、全然。
この人にとって、砂漠行は、ただの通過点でしかなかったようだ。
それが、この旅路が「それどころじゃなかった」せいなのか、それとも、この人がもともと「変わった後のタイプだった」のかは、私には、よくわからない。
「パリダカみたいに、大枚はたいてレールの上を走ったってね・・」
レースではなくツーリングなので、観光もありなんである。
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私が借りたのはこれ。定価980円。
サハラとわたしとオートバイ (1983年)
文庫版もあるようだ。
サハラとわたしとオートバイ (講談社文庫)
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