バイクの本 「イトシンのバイク整備テク 」2012/06/03 06:17



先週に続いて、イトシンさんである。

ネットで検索してみて、唯一、新刊で残っていた本がこれだった。
近くの図書館にあったので、借りて見てみた。
その名の通り、バイクの整備や調整について、イラストで平易に解説している。

イラストが多いせいか、何となく既視感があるのだが、巻末に「本書は当文庫のための書き下ろし」とある。

実に基礎的な所から、難易度が高い所まで、幅広く記述されている。著者自らによるイラストがまたわかりやすくて、ややこしいメカの構造なんかも、ビジュアルに理解しやすい。

この手のメンテ本で、普通は既知扱いで書かれないような、すごく基礎的な内容や、簡単がゆえに習わずに自己流で済ませているような所まで、キッチリ説明されているのが有用だ。工具の選び方、ネジの回し方のいろいろ、オイルや、ワイヤー類の替え方・・・。プラグキャップの替え方なんて、知ってます?。

難しい方は、タンクの塗り方から、キャブの調整、ピストン交換のあたりまでを網羅している。
キャブは、小排気量の単発VMを想定していて、中の構造や機能を説明しながら、整備の方法を詳細に解説している。
エンジンについては、2stの腰上だけを扱っていて、4stのヘッド周りや、クランク周りまでは網羅していない。

全体的に、原付クラスの小排気量車を自分でいじくり回したい初心者(に近い人)を想定していて、例えばもう少し大きな排気量の、CVキャブが連なるような(構造が複雑な)バイクまでは届いていない。無論、最新の電子制御も含まれない。

しかし、この値段で全300ページ、内容はなかなか充実している。単純に通読しても、知らないことや、感心することが結構あって面白いし、後から欲しい所だけ引くような、辞書的な使い方もできる。(というのは、いつぞや紹介した このあたり にも似ている。) 知識と即戦力の両方に使える、実力選手だ。

このくらいの知識を持っていれば、あらかたの車種の通常整備はこなせるので、万人にお勧めできる内容だし、メカの初心者はもとより、メカいじりに回帰したいオジサン(私のような)も、持っていて損は無い一冊と思う。

そろ、「キャブの調整」なんて死語になりそうなご時勢だ。
ちょっと古めのベスパを仕入れて、自分でいじってみよう、などと目論んでいる皆さんは、一冊イッといた方がいい。怪しげなメンテブックなんかより、よほど使えること請け合いである。


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イラスト完全版 イトシンのバイク整備テク (講談社プラスアルファ文庫)


ちなみに、図書館にはこれもあって、一緒に借りてみた。

「イトシンのイラスト50ccバイクレストア 」


内容は題名の通りで、原付のレストアをするための、手順、やり方、コツなんかが書かれている。

題名も内容も、これまた既視感があるのだが、上の本とは別物だ。 内容としてはダブりもあるが、「レストア」がお題なので、前提として、バイクは「朽ちかけて」いて、それを「救う」ことを想定して書かれている。錆びついたり、エージングを経て古びた部品の扱い方の記述なんかが豊富だ。

 ・ 自分で手を入れた機械(バイク)が、まっとうに動き出す。
 ・ さらに、それが自分を運んでくれる。
これって、本当に楽しいのだ。

よく、旧車乗りを「ろくすっぽ動きもしないのに、何が面白いんだ」と非難する人がいるが、お門違いだ。彼の目的は、「乗ること」ではなく、「動かすこと」なのだ。

確かに、それを自力で実行しようと思ったとき、原付はうってつけのカテゴリーだ。題材(中古車)は豊富だし、機体も部品もとにかく安い。構造も簡単で、市場にパーツも豊富なので、工夫の余地も広い。スピードレンジが低いので、失敗してもシャレで済む。

若い人に、バイクいじりは面白いですよ、というのを紹介する本でもあると思うのだが、今の若い人は、イジるどころか乗りもしない。もう売れない本なのだろう。刊行は2000年だが、こちらは既に絶版である。

若い人だけではなく、自宅の隅で朽ちかけている原付なんかをイジって遊ぼうというオジサンにも有用な本だし、上の文庫に比べれば大きめの版なので、そろ近くが見えにくいオジサンにもありがたいんだが。(笑)
残念だ。


Amazonはこちら
定価は\1500です。
イトシンのイラスト50ccバイクレストア (講談社SOPHIA BOOKS)


さて。
もうすぐ梅雨だ。

「雨の週末は、次のメンテ計画を練りならが、ゆったり過ごす」
なんて、いかがだろうか。


コメント

_ moped ― 2012/06/05 18:55

まいどです。

20年以上前に、やや腐りかけた原チャリを復活させたのを思い出しました。

自分のバイクではないのですが、屋内保管でしばらく乗っていない様子のスクーターでした。

まぁ、暇潰しついでにということで、キャブを掃除し、スロットルワイヤーに注油したら、復活しました。

確か、あまり売れなかったスリーター(苦笑)で、ジョイだったと思います。(笑)

本当に腐ってしまったマシンを復活させるのは、時間と技量を必要しますが、それを趣味とする人にとっては、苦労と感じず、むしろプロセスも楽しみなんでしょうね。

_ ombra ― 2012/06/09 16:32

おばんです。

私も下手の横好きで、かつ、ネジを回しているとストレス解消になるという変態なので、こっちの「楽しみ」にも馴染みがあります。
時々、実家に放置されている古いカブを「復活させたい!」、と発作を起します。

そんな私にとって、この類の本は毒なので。
困りますね。(笑)

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