バイクの本 Moto Guzzi 2-valve big twins (Essential Buyer's Guide)2016/02/21 09:01



ここしばらく、バイクの記事は書いていなかった。

どうも体調が良くなくて、バイクには、あまり乗れていない。

乗りたいのには変わりないので、がんばって乗るのだが。思ったようには乗れないから、面白くない。で、何となく不満が残って、しばらく鬱々とするのだが。やっぱり、乗りたいのは変わりないので・・・(→初めに戻る)

こうなってみて、今さらながらに思うのだが。
私がバイクに乗りたいのは、「楽しい思い」がしたいのだなと。

もっと別の目的があれば、例えば、開放感とかスリルとか、どこかに行くこと、つまり「移動」とか、そういうことがしたいのなら、この程度の体調悪化なら、何とかなったはずなのだ。きっと、こんなに不満は感じなかったろう。

でも、違うのだ。
私は、バイクに乗ること、一言では「操縦」、それが目的で乗っている。

私は、ルマンに乗っていると、それだけで楽しい。走り出した瞬間に、手足、身体の全てで行う、あらゆる操作が「楽しい」と感じる。もう何十年も、こんななのだ。我ながら、懲りないというか、「アホやな」と思う。(笑)

ルマンは本当によくできていて、楽しく乗るのに、特別な環境や条件、例えば、一生懸命に距離を伸ばしたり、「適度な峠」とか、そういった舞台は必要としない。その辺の街中を走っていても、それなりに楽しめる。無論、存分に足を伸ばしたり、適度な峠なんかを走れれば、さらにもっと楽しめる。でも、そんな特定のステージは、必須ではないのだ。公道における、あらゆる状況で楽しく乗れる。

だから、「ずっと信号がなくて快適な裏道」なんかを近場に開拓できれば、走る場所としてはそれで十分で、現に私は、お高い高速代を献上してまで、遠乗りはしなくなった。昔はあちこち飛び回ったものだが、ここ何年かは、なんと、県内から出ていない。

ルマン自体は、超のつく高速ツアラーだから、こういう使い方は、きっと本懐ではないのだろう。ただ、こいつは、その辺の狭量なスーパースポーツとは違って、こんな偏狭な使い方を、全く問題なく許してくれる。そのルマンの鷹揚さに、すっかり甘えてしまっている。

ただ、その「本領を発揮したい衝動」は常に付きまといがちで、たまに、つい、無理をする。(未熟者カウンターを一回押し。)そこが唯一の「悲しい点」で、それは、バイクではなくて、乗り手の側の偏狭さを示しているわけなのだが。この落差だけは、ずっと、如何ともしがたかった。

その「ズレ感」が、私を「次の一台」に向けて逡巡させ続けた原因で、現に、いろいろとウロウロし続けてきたわけだが。これが、本当に全くのムダ足だった。市販のバイクは数あれど、「乗るだけで楽しい、よくできた公道バイク」なんて、そうそうあるものではなかったのだ。

スペックとして、「どんなステージでも過不足なく使える」とか、「乗り易い、使いやすい」バイクなんてのは、しこたまある。しかし、これが乗ってみると、まるで面白くないものばかりだった。

簡単に説明すると、巷で言う「乗りやすい」というのは、「操作に対して心地よく反応すること」ではなくて、乗り手の操作の粗さを丸めてくれること(平たく言うと、ヘタクソが乗ってもそれなりに走ること)とか、操作そのものを必要としないか、量が少なくて済むこと(省力化)、などを指すらしかった。

操縦自体が、必要とされなくなっていると言っていい。
操縦を楽しみたいというのに。

いや、「楽しいバイク」も、なくはないのだ。しかし、かなりの度合いで、ステージを厳しく要求するものがほとんどだった。例えば、峠はいいが街中は怖いとか、高速はいいけど降りたくないとか、その逆とか。公道バイクとしては、歪(いびつ)と言わざるを得ない。

昔、同じグッチ乗りの知り合いが、うまいことを言っていた。
クセがないなんて面白くないよ。クセを楽しんでいるんだから。

メーカー側の目線で言い換えれば、楽しめるクセ(特性)を、どう具現化するか、そこがキモだ、ということになるだろう。ただ、尖がらせればいいとか、そういう簡単なことではない。公道バイクとして使える広いベースを備えた上で、どこにどんな「クセ」を形作れば、「個性」として、愛してもらえるのか。

物理的には、矛盾かもしれない。
しかし、だからこそ、技術的にはチャレンジになりうる。

だが、昨今のメーカーは、押並べて、この努力から逃げ続けてきた。
そして、その姿勢には、改善の気配が全く無い。

余談だが、今、4輪の方の技術トレンドは、「自動運転」一色だ。どうも、これまでの電化・制御の流れを深める方向に突き進もうとしているらしい。乗用車のメーカーも、この流れを支援しているようなのだが、私にはこれが、どうにも不思議に思える。

まず、今現在でもそうだと思うのだが、もし「操縦」がイヤならば、電車・バスで行けばいい、そういう判断になるだろう。つまり、ファシリティのインフラとしてそこにあればいい(誰かが代行してくれればいい)わけだから、個々のユーザーが所有する必要はなくなる。ユーザーが自分で、クルマの乗り味や価格に関心を持つ必要もなくなるだろう。(一部マニアは「鉄ちゃん化」して、残るかも知れないが。)

次に、技術トレンドとしての「エコ」、つまりエネルギー効率の向上の流れが、影響が大きそうだ。内燃機にしても電動機にしても、装置としては複雑化の一方なのだ。最新のディーゼルエンジンは、あれこれ補機がくっついて結構重いし、電動の方も、駆動と回生の装置とシーケンス(ハードとソフト)が相乗的に面倒さを増していて、下請け(部品の設計と調達)まで含めて、お話は複雑になる一方だ。どちらにしろ、モノは巨大化の傾向で、小型化はしにくい。

以上の2点を考えると、次のクルマは、インフラに使う大型の車両、たぶん、バスあたりが一番近い。調べると、既に西欧では、この流れが顕在化している例もあるようだ。次はトラックかも知れない。荷降ろしを顧客がやらねばならないが、業界によっては既に当然だし(運転者が降ろせない荷は今でもたくさんある)、IT化が、容易化を助ける場面も多そうだ。

社会全体の流れとしては、これでいいのかもしれない。しかし、車両の数としては集約の方向で、数を出すことで生き残ってきた乗用車メーカーは苦しくなる。たぶん、業態を大きく変えなければ、生き残っていけないだろう。辛うじて残ったクルマ業界の覇権だけで食っている日本の工業界は、これで止めを刺されるかもしれない。

ユーザー側の変化としては、操縦を楽しむ文化は死滅するだろう。クルマの方は、上述のように、業態を替えつつ生き残りを図れるのかも知れないが。バイクは、ほとんど絶滅するだろう。貧困層向けのカブなんかは、残るかも知れない。そんな都合の良い貧困層が、地球上のどこかに残っていれば、の話だが。

しかし、バイク業界には、全く危機感は感じられない。無闇にハイパワーとか、無意味に高価なんてのばかりが目立つせいか、妙に無邪気にも見える。これはひょっとして、最後の打ち上げ花火なのだろうか?

さて、長い余談は終りにして。
私の次の一台の話に戻る。

バイクメーカーが公道バイクに取り組む姿勢に、改善の見込みがないとすれば、未来には、解がないことになる。つまり、「操縦が面白かった頃のものを掘り出す」しかなくなる。 …①

一方で、乗り手である私の方は、既に中年を過ぎつつあり、体調は、これからも、いろんな意味で低下を続ける。腕力は落ち、視界は狭く、視力は劣化し、反応速度は鈍く、気力は萎えていく。財布も痩せて行くだろう。(笑)

冒頭に書いた、「存分に乗れなくて不満」な感じは、これからも進行していくだろう。なのに、「それでも乗りたい」となると、「軽くて面白いのを探す」しかない。 …②

①と②の積を取って解を求めると、「乗るのが面白そうな、軽めの旧車を」となる。

うむ。
崖っぷち感、満載である。(笑)

これって要は、「お気に入りの車体を安く仕入れて、自分で仕上げる」という、その辺でもよくありがちな「行」(ぎょう、悟りを開くための修行)と同じになってしまうのだが。

実を言うと、それを承知で、国産と輸入車から1台ずつ教材を選んで、「安く仕入れて自分で仕上げるって、どういうこと?」を、自分で実践してみている。

もう既に粗方の結論は出ていて、成り行きも含めてちゃんまとめて、ホムペにでも書こうかなっと、準備はしているのだが。どうも、あまり面白いお話になりそうもないこともあり、どうにも気が乗らずに、放っぽり出してしまっている。

仕方ないので、もう一段、妥協して、「なるたけ解に近いもの」ではなくて、「許せる範囲で似たもの」に選択肢を広げてみようかと。つまり、何を拾い、捨てるかを選びなおすのだ。

例えば、私がルマンに感じる良さの一つに、「右手のトラクション一発で、自在に操れる感じ」がある。しかしこれは、「軽いの」つまり排気量を下げた時点で、諦めざるを得ないから、捨てる方に仕分けられる。

それ以外のルマンの長所で思いつくのは、シャシの重量配分だ。この、縦置きVツインが作る動バランスは、この「楽しく操れる感じ」に、間違いなく寄与している。(多くの人が感じるという、グッチの「乗り難さ」にも、きっと貢献しているんだろうけど。笑)

ただ、縦置きV2なら何でもいいというワケではなくて、エンジンのマウントが、ステアリングヘッドに近い、横から見て凝集感を持った配置でないといけない。無闇にエンジンを低く積んで、低重心を狙ったものはNGで、ホンダのGL系は、ここで落選だ。昔のライラックは良かったかも知れないが、ちょっと古すぎて、今、キャンディデートに挙げるのは難しそうだ。となると、やはり、選択肢はマンデロに限られる。

ううむ。
ここいらで一回、グッチの新しい知識を仕入れて、おさらいをし直すか。
何かいい本あらへんかな?と文献を探してみたら、新しい「中古ガイド」が出ているのを見つけた。
これって、ひょっとして、うってつけ?(笑)

著者は、以前、この辺で何回か取り上げたのと同じ人だ。

The Ducati Story
The Moto Guzzi Story
The Laverda Twins & Triples Bible

「グッチは耕運機のエンジンで・・・」なんかいう、いい加減な都市伝説に拘泥せず、自分で調べて、経験したことをベースに語ってくれる、信頼感が高い人だった。

そんなわけで、久しぶりにバイクの洋書を、ポチったわけだが。
これが、実際に届いたモノを目にして、驚いた・・・

(続く)


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コメント

_ ryo ― 2016/02/24 23:21

始めまして、ryoと申します。

ルマン3について調べていて、公道バイク研究室にたどり着き
数年前からHPの方を拝見させて頂いております。
ブログの方も、楽しく読ませて頂いています。

色々と触発されて、最近ルマン3を手に入れてしまいました(笑)
自分に相性が合うかどうか、これからじっくり試してみようと思っています。
※もともと400のタルガからバイクの世界に入ったクチなので
 背中を押された…が正しいと思います。

ブログの話題に戻しますが、次のバイクとして、KTM690Dukeはいかがかな?
と思いました。

実は今、KTM690エンデューロ(オフ車)を所有しており、7年で10万キロ近く
乗っているのですが、いつまでも飽きないので、自分でも驚いています。

走るステージ(使い方)の違いはありますが、バイクに対する考え方が
非常に近いと感じたので、今の自分のお気に入りを提案してみました!

_ ombra ― 2016/03/01 19:50

ryoさん
いらっしゃいませ。
ご愛顧いただいているようで恐縮です。

KTMですか。
来ましたね。(笑)

KTMは、ずいぶん前にSuper Dukeを試乗して、「スッゲ~」とえらく感心した覚えがありますが。いいバイクなんですけどね。何と言いますか、ルマン1000の「我慢を止めると無理になる」のと同じ辛さと言いますか。しかもそれが強い。(笑) まあ要するに、オジさんには使い切れんなと。そのまま過ごしてしまいました。

ご指摘の690 Dukeも、実はウオッチしていた時期がありました。確か縦目の頃です。でも、
・600クラスのオフ車は昔乗っていたが(国産です)、
 ちょっとプライベートが厳しい時期だったこともあり、
 あまりいい思い出がない。
・近所で一番近いKTMの店が、とっても感じが良くない。(笑)
といった副次的な理由で、やっぱりスルーしてしまいました。

また、これまた個人的な考えなのですが、「低重心でタイヤが太い近頃のバイク」に、ちょっと別の懸念もありまして。(どんな懸念なのかは、そのうち書きます。)

で、ルマン3ですか。
来ましたね~。(笑)
高かったんじゃないでしょうか。いまだに人気ですしね。

タルガのご経験がおありとのことで、グッチにビビる心配はないと思いますが。(笑) ルマン3は、いいバイクですが、クセも強いので。馴染むには少々がかかるかもしれません。しかし、馴染んだ後がまた格別ですので。気長に乗ってみて、感想を聞かせて下さい。

では。

690 Duke、試乗くらいはしてみようかなあ・・・

_ ryo ― 2016/03/03 23:03

乗ったこと無いバイクを進めるのはちょっと無責任なので、
とりあえず、Dukeを提案という事にさせて頂きました(笑)

エンジンは急かされるほどではないものの、確かに回した方が楽しいエンジンですし、タイヤの太さの件もあり、本当はエンデューロを薦めたい所ですがオフに行かないと勿体無いかな?と思いました。

サスペンションは、国産オフとは比較にならない固さで、ロード寄りともいえますが、オフでもかなりレベルの高い仕事してくれて
前に乗っていたヤマハのWR250R(実はかなりオン寄りの足です)と比べると、コストのかけ方とセッティングのレベルが別次元と感じました。

使い道が違っているとダメかもしれませんが、良いバイクじゃないかなと思いますので、690Duke 一度試乗されてみてはどうでしょう?


はい!未だにプレミア価格のルマン3ですね(笑)
程度関係なく、車検がついて動くと100万円越えますね~


どれを買っても機関系は見直したくなると思いましたので、部分調達が面倒な外装がまともで、機関系はなるべくノーマルなら
なんでもOKと思って探していたら、ちょうど外装だけレストア済の車体が、相場より安くでてきたので、思わず飛びついてしまいました。

幸運な事にフルノーマルでエンジンも難なく始動するので、ゴム部品の交換と、サス・ブレーキ系のO/Hを行ったら
とりあえず動かして見ようと思います。

_ ombra ― 2016/03/10 21:27

ryoさん
いろいろどうもです。
貴重な情報、助かります。

なるほど。オフ系の皆様には、エンデューロ系は、なかなか魅力的な仕上がりだったんですね。

Dukeも、軽くてハツラツとしていそうで、確かに魅力的です。

ただ、ちょっと気になっているのは、KTMというメーカーの微妙な立ち位置で、日本での売り上げはまだ上っているようですが、東京の湾岸にあった旗艦店は、とっとと店をたたんでしまいましたし、近場の店を見ていても、200辺りの小さいのはボチボチ売れているものの、オンロード系は、あまりパッとしないようです。

メーカーにしてみれば、ナンボか売れてはいるとしても、他国よりもマーケットが小さければ、魅力は少ない、つまり撤退もありうると。そんなご時勢に、そろそろなっているようにも思うんです。

4輪でも、フォードが日本撤退など動きが出始めていますし、バイクでも、トラがもうそんな感じがしないでもないです。グッチも含めたピアジオ系は、「ずっとそんな感じ」で、ヤバ~いままですしね。(笑)

KTMの場合、メーカーを支えるのは、やはりコアなオフ系のファンのような気がするのですが。世界的にマーケットを眺めた時、日本はさほど多くないのではないかと。

それが、メーカーのサポートに跳ね返って来かねないのが、少しだけ気になってます。

いえ、私の近所の(感じの悪い)KTM屋が、いつまでもつのか分からない、ってことなんですけどね実は!。(笑)

ご提案の690Dukeですが。中古も見ると安いの(=私にも手が出そうなの)もあるようなので。ちょっと丁寧に探してみますね、試乗も含めて。

いや。
オフに転向、って手もあるんですけどね・・・。

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