ファンタジーランド: 狂気と幻想のアメリカ500年史 ― 2020/03/21 09:27
少し前まで話題になっていた本で、あちこちの書評で見かけた。
「アメリカ人は、現実認識能力に乏しく、空想に棲まう傾向が強い。」
日本では、「アメリカは正しい」と妄信しているケースも多いから、こう断言してしまうと、反発する面も多かろう。
しかし、日々仕事でUS人に接点のある私レベルの人間でも、そういった傾向には覚えがある。
US人の言動は、冷静に聞けば、結構マヌケなことが多かったりするのだが、とにかく偉そうに言われるし、件のこちら側のコンプレックスもあって、鵜呑みで流しているケースが結構ある。逆に、「新しい」と有難がったり、崇めたりするケースさえ散見される。
本書は、そのUS人の思考の傾向の源泉を、合衆国の歴史に従い、入植の当時から時系列に辿りつつ、半分面白おかしく、しかし詳細に(しつこく)、その変遷を描いている。アメリカ人の妄想癖を揶揄しつつ、それをトランプ大統領の支離滅裂振りを理解する物差しとする、というのが裏の(表の?)趣旨だ。
こういった本の論理は、裏返すと、「その内容を信じてしまうと、本の中に書かれている妄想に住まう人々と同じになってしまう」という、構造的な欠陥を内包する。信じても信じなくても、どっちに転んでも救われない。(笑)
その意味で、昨今よくある、トンデモ本を揶揄するトンデモ本の類書と言えるかもしれない。
個人的には、あまり新しい内容はかなったが、USの実態を参照する貴重なアスペクトを提供してくれることは確かだ。
US人のおバカさ加減が気になった向きには、ご一読をお勧めしたい。
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