時間は存在しない ― 2020/05/09 06:38
図書館で題名借りした。(しばらく順番を待った。)
少し期待したんだが、それほどではなかった。
要約すると、「時間は『前提』でしかない」ことを、主に物理学の目線でもって解説した本だ。時間というのは(物理学的には)本来こう考えるもので、それは何世紀の何という学者が行っていたのと同じで…云々。
話が薄いし、よく飛ぶしで、付き合っていられないので飛ばし読みしたのだが、主題は大きく二つだった気がする。
(1) 人間の感覚は、相対的である。
(2) 人間は、現実のほんの一部しか認識できない。
まず(1)だが、人間が何かの尺度、暑い寒い、長い短いなど全てだが、それを語るとき、必ず「何に比べて」という枕詞が隠れている。絶えず、何かと比較して、大小を論じている。
などと言うと、オレの感覚は絶対的だ!などと怒る人が必ず居るのだが。俺の方が正しい!と言った瞬間に、お前に比べれば、という比較論を、図らずも露呈するに至ったりする。
人間は、絶対的な大小を論じることができない。それまでに触れたものや聞いたもの、既存のモノサシなどとの比較でしか、物事を捉えられない。
次に(2)だが。一番わかりやすい(?)例が、高校の数学で出てくる「i」だ。
i = √-1
二回かけて、-1になる数。
現実にはあり得ない。だが、これを仮定することで、解ける問題がしこたまある。
いい例が「交流」だ。普段使っているコンセントの、電圧や電流。あれは、実に独特な計算をするもので、そこには必ず i が出てくる。
目の前で流れている電流 I、そこにはないはずの「あの世の電流」 i I を仮定して初めて、実物と合う答えが得られる。
どうやら、「時間」も同じらしい。
それが「相対的な差」であること、「あの世の裏側」を仮定して初めて、得心できるもの。
そんなもの、珍しくもないよなあ。
と思っている私には、あまり得るものがない読書だった。
普段から、自分の感覚しか頭にない人には、珍しかったりするのかな。
(分からないだけ、のような気もするけど。)
内容が散漫なので、長年の疑問とか、特定の興味分野など、読みたい所だけを便利に使うような読み方には、適しているかもしれない。(労力 vs 得るもの、という意味でのコスパは、悪いだろうけど。)
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時間は存在しない
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