バイクのビデオ ~ ケニー・ロバーツ [DVD]2012/04/22 08:14



先週の類例で、DVDソフトを取り上げる。

以前、ケニー関係では、 ライディング論の本 とか、 DVDつきのレーシングテクニックの本 を取り上げたが、これは、ケニーのレース史を追ったものだ。GPに行く前のダートラ時代から、GPでは白/黒/黄色の78年から83年の引退までと、その後の様子(チームロバーツとか)をまとめている。当時の映像を、本人の回想インタビューではさむ作りで、ケニーの活躍を広範に網羅されている。スリックタイヤやリアステアの「なれそめ」や、機体の技術的な話(何年型はどう変わった)、舞台裏の方も、あの「政治の話」などなど。GP参戦当初の車載映像(カメラを取り付けたバイクがケニーを追いつつ、後ろから撮っている)などもあって、単純に映像としても楽しめる。

礼儀として(?)「キングケニーを奉る」作りでもあるのだが、その分を差っぴいても、このドヤ顔の尊大な男がGPに及ぼした影響は、やはり、小さくなかったと思う。何せ「偉そうで正しい」ので、ムッとする面々も少なくなかったろう(ヨーロッパ勢は特に)。しかし、種をまくことにマメだったのも確かで、今、残っているアレコレに、彼の影響を見ることも少なくない。そんな流れも展望できる。

しかし・・・やっぱり車体の特性の話になってしまうのだが、この頃は、レーサーですら機体の動きに安心感のようなものを感じる。機体の方は、ちぐはぐだったり、無茶や矛盾だったりで、乗り手も苦労しているのはわかるのだが。ステアリングヘッドを大事に扱う感じか、丁寧にバランス作りをしているからか・・。この頃は、速い人は皆、乗り方が丁寧だった。

この後、レーサーはただひたすら、トラクションでもって前後左右に車体を押し込む単能機に進化し、一触即発の、胃が痛い乗り物になった。そして何と、今やそのまがい物を市販したメーカー自身が、自己否定するに至っている。(詳細は、こちらの リンク を参照。レプリカを買った顧客を愚弄していると思う。CBRのオーナーは怒るべきだ。) それで改心して出した市販車の方は、ただの安さ&安定重視で、乗り味で言えば、ノホホンと乗ることしか能がない感じの(何もさせない、できない)、大きなカブのように見える。熟成の香りも、努力の跡も、ほとんど感じられないから、このケニーの当時の機体が持っていたような、「自分から操るが故の安心感」の公道版なんて、望み薄なんだろう。とどのつまり、ケニーの昔から今に至るまで、ライダーが命がけで戦って来たレースって、何だったんだろう・・・と脱力してしまう。

これから先、市販車はどうなるんだろうか。
大型スクーターの類例以外は、またカタナやニンジャのあたりをインジェクション化して、再販する位しか手が無いのか?。

全然関係ないが、昔、ライダースの別冊で、ケニーを特集した大型のハードカバーがあった。ああいうのを、再販してくれないかな・・。(当時、高くて買えなくて。持っていないのだ・・。)


Amazonはこちら
ケニー・ロバーツ [DVD]

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mcbooks.asablo.jp/blog/2012/04/22/6421466/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。