オートバイのチューンアップ2020/10/04 06:45



図書館の片隅で見つけた。
なんだか、古くて懐かしい本である。

表紙に、見覚えがある。
でも、買った覚えはない。

当時、本屋の軒先で、買おうか否か、迷ったのかもしれない。(笑)

チャラけた題名のムックだが、意外と真面目に書かれている。
「チューニング」とは、まあいわば改造なのだが、その本来の意味である「調整」の意味合いを、ちゃんと伝えようという意図が感じられる。

まず目的があり(公道とかレースとか)、欲しい効果があり(フィッティング向上とか性能アップとか)、それを実現する手段を(加工、交換、ワンオフなど)、法の範囲内で決めていく。

そのステップを登るには、バイクの機械的な構造の把握が前提となる。こういうタイプのバイクがあって、エンジンのサスペンションの構造はこうで、そこで使われているパーツにはこんなものがあり、役割はこれこれ。なので、こういう効果が欲しければ、ここをこう変える。

お話の帰結として、高価なワンオフか(外装やスイングアームなど)、既存の改造部品の交換(タイヤやキャブなど、自作がかなわないパーツはこうなる)に結論が向かいがちなのは、既存の市販車が、調整などを前提にしていない以上、致し方ない所だ。(以前は、ライディングポジションなど、いろいろ調整可能な機構を備えた機種があったが。滅亡したようだ。)

そんな本書だが、意外な効用がある。
用語の説明である。

この手の話は、ややもすると機械用語の横文字カタカナの羅列になり、初心者には大変な障壁になっていたりするのだが。構造やパーツの説明と、チューニングの方法論の解説が、これを網羅している。

「初歩的だが丁寧な文献」というのは、この当時はパラパラあった。だが今は、めっきり見かけなくなった。ネットがブレイクしてからこっち、情報の量だけは増えたのだが、それに反比例するように、丁寧さの方は消失しているように感じる。(伝えることより、書くことが目的の、独善的な文章。私が典型である。笑) なので、この類の文献には、実に久しぶりに触れた気がした。

同じような意味合いで、以前にこれを紹介した。これも優良だったので、リマインドしておく。
イトシンのバイク整備テク

後半は、当時の市販車のインプレと、車種別チューン例の紹介だ。アップハンのナナハン刀、CBX400Fに初期型VTの時代である。ワタクシの青春時代でもあり、大変に懐かしい…。この、細っそいアルミフレームの初期型ガンマで、峠をブッ飛ばしてたヤツがいたなんて。信じらんない。(笑)

インプレの方はほとんど役に立たないが(GPz400Fの「大人の実力をフルに発揮」とか、イミわからん)、ただ懐かしがる分には十分だ。RZ125とか、AR125なんかは、今あったら本気で欲しい。(ご同類多数のはず。)

弱っちい部材に安っぽい設計(実際に安かった)、その合間に少しの破天荒が光るという。
面白い時代だったなあ、と懐かしく思い出した。

前回 の本とは、1年しか違ってない。あちらは、バイクメーカーのお先は暗い、のような雰囲気を醸していたが。時代はこの後、バイクブームに向かう。(日本市場の話だが。)

たった一年なのに、ずいぶん違う書き方をされるもので、出版言論の当ての成らなさ加減に、変に感心した。


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オートバイのチューンアップ

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