'90sのバイクの本(1) ツーリング大全2015/07/05 07:36

1990年6月刊 定価¥3107円(税別)


題名から「何が書いてあるんだろう?」と訝られて、内容を確かめる目的で借りてみた。

B5版の、ちょっと大きな本だ。白黒メインで、230ページ余。その名の通り、「ツーリング」について、こまごまとしたことが、つらつらと書かれている。

その「ツーリング」だが、かなりアウトドアに振れた内容で、「テント背負ってソロキャンプ」の類が、主な眼目だ。

手作りの旅で自然の中へ入り込もう、そのためのウエアはこう、コッヘルの使い方はこう、食事の用意はこうで、片付けもちゃんとね、便利なロープワーク、トラブルの対処の仕方(火傷の治療のし方から、バイクの直し方まで)、そして、ツーリングの醍醐味を語っちゃおう・・・といった感じで、グッズの例や使い方などが、写真(ほぼ白黒だが)を添えて綴られている。

ツーリング記ではないし、コース紹介、ライディング論でもない。要は、「ソフトな用品紹介」なのだが、そうなると、既に情報が古いので、今見る意味は、ほとんどないように思えた。(これだけ時間が経てば、グッズも代替わりしていて、事情がだいぶ異なっている由。)

ただ、「用品はこうあるべき」という、そもそも論みたいなものから含まれるので、アウトドアとバイクの間を埋められる、または、その2種類を別個に読まずに一冊で済むという意味で、この世界を嗜好する人には便利な本だったのかな、と思われた。

そういえば、何となく、野宿ライダー的なこの種の乗り方って、馬力とかスピードとか、これ以前のレプリカブームに代表されるような、ある意味バブルの象徴的な所へのカウンターと言うか、バイクに乗せられてブッ飛んでんじゃねーよ、オトコなら自力(独り)でサバイバル・・・みたいな、逆方向(悪く言うと「ビンボくさい」方)に振れたようなニュアンスもあったような気がする。

しかし、当のレプリカ君たちが居なくなれば、独りで野宿してシブかっても比較の相手(見せたい先)が居なくて空振りだし、バブルがはじけて不景気が深刻化して、足を滑らせて毎日野宿を楽しむ羽目になった日にゃあ、本末転倒だ。

つまり、バブル崩壊の足音迫るこの頃が、野宿ライダーのピークだったのかなあと。

その後、幸運にも「キャンプ側」に残った皆様は、無事に所帯をお持ちになって、バイクから乗り換えた4WDに、家族とキャンプ用品を満載するような「物量側」にシフトして、今に至るような気がする。

かくして、「自立」だけが、どっかに落とされたと。
そういうことかな。


Amazonはこちら
ツーリング大全

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mcbooks.asablo.jp/blog/2015/07/05/7699993/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。