読書ログ 「アジャイルサムライ−達人開発者への道」 ― 2013/07/27 06:45
アジャイル(Agile)とは、ひところ流行った、ソフトウエア開発の運営方法だ。あらゆることを決定論的に考えず、組織横断的に、柔軟に対応することを特色とする。
ことソフトに限らず、何かを為そうという「プロジェクト」は、そごや矛盾を内包しつつ進むものだ。一番初めに仕様を決めるために必要な要件は、プロジェクトがキックした後も、いつまでも決まらなかったりするし、途中で変更や追加になるのは、良くあることだ。人が辞めたり入ったり、上司が変わってやり方が変わったりもする。納期の前倒しや、土壇場に来ての仕様変更や値切り、それらの幾つかが「せーの」で来ることもままある。
「ちゃんと管理しましょう(キリッ)」的な、上から目線の古臭いマネージメントでは、今どき、うまく行かない。じゃあ、どうしたらいいんだ(しちゃいけないんだ)ということを、頭がよく、フットワークも軽い、ちょっと変わった人たちが考えた。
そのアジャイルが、どういうものか、どうやるのかを、自分で自分をチャカしながら(だから「サムライ」)、説明している。
少人数で、その場その場で、柔軟性をもって、対処する。
大切なこと、どうしても外せない要件だけは、見据えながら。
単純に言い切ってしまうと、そんなところだろうと思う。
その場その場で済めば苦労せんだろうと、オジサマ方は言われるかもしれない。
無論、単なる放任主義ではない。
目的を達成するために、ちゃんとスジは通している。
しかし、目的を達成するために、そのスジは適宜変えていいという所が、オジサマたちには理解しにくいし、時に不安を呼ぶこともありそうだ。
全てを柔軟に考えましょう、ということは、アジャイル自体も柔軟に捉えてよろしい、ということになるので、コレをヤンナサイ式の「決定論」でないと教わった気がしない、暗記型の秀才諸君にも、受け入れ難い理屈だろうと思う。
実際、楽にはならず、辛くなることもある。
常に頭を使い、動き続けねばならない。
簡単に「柔軟性」と言っているが、その柔らかさ度合いは、半端ではない。線路の乗り換えだけではなく、逆方向にも平気で進む。早送りや、逆再生も有りだ。(以前、有名なオーケストラの指揮者が、あの複雑なスコアを、頭の中で逆再生できると言っていたが、同じような鍛錬が要りそうだ。)
しかしだ。
実際、世の中、フローティングの度合いを深めている。
どこにも繋がらずフワフワと漂い、見通しも、方針も立たない「フローティング」。
一方で、利害なんかの制約条件は複雑化の一途をたどっていて、まるで、入り組んだ連立方程式のようだ。(でも、大概は、式より未知数の方が多くて、ちゃんとは解けない。)
状況は常に動いているが、いい方向へは行っていない。
従来の枠組みも、意味を成さなかったり、不足だったりすることがほとんどで、担当範囲をこなしていれば済む状況では、とっくにない。
何より、仕事として、楽しくない。
守るより攻めよう、どんどん枠を踏み越えて、自分で、みんなで、回して行こう。
そんなメッセージとも受け取れる。
ソフト業界だけではなく、例えば製造業でも、示唆的に参考にできる内容ではないかと思う。
ただ、「運転は、知っていても、できるわけではない」のでね。(笑)
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