◆ (単行本) ルポ 誰が国語力を殺すのか ― 2023/12/31 15:27
小学生に「ごんぎつね」を読ませて、感想を言わせる場面から、本書は始まる。物語の中で、悪いきつねは婆さんを殺して煮てしまうのだが、この意味が、子供たちにはわからない。いわく、消毒しているのではないか、埋葬の代わりではないか・・・。
こういった事態を、文科省のエラいさんは「読解力の低下」として、各種の対応策を打ち出している。(←我田引水してメシのタネ化している。)
が、どう考えても、国語力の低下は、この現象の原因の、ほんの一端でしかない。子供たちの生活環境、家庭と学校とネットをひっくるめてだが、その劣化に起因する、広範囲かつ複合的な要因に依ることは明らかだろう。
著者は、実際に子供たちと接した経験を元に、子供たちの劣化をタイプ別に腑分けして、子供たちがこうなるに至る原因とステップを明らかにし、対処法をまとめている。
個人的な感想だが、やはり、親のレイヤの劣化は、加速度的に子供レイヤの劣化をもたらす。このところ、今の大人は子供っぽくていけない、と繰り返し文句を言っている私だが、子供が子供を育てられないのは当たり前だ。
親や先生が、子供に対して、自分に何かをしてくれと要求している場面を、よく見かける。(普通はこうするよね?という言い回しで「仕向ける」やり方が多い。) 大概の子供はいい子でマジメだから、その要求に従い、奉仕(頻繁に「貢献」と言い換えられる)することが、自分の社会的役割だ、と認識する。
上の人間に従い、群れに奉仕することが正しい行いで、それ以外の事、上に逆らうことは無論、異論を唱えたり、勝手に振る舞ったりすることは悪事であって、糾弾による断罪(よくヘイトの元ネタに応用される)や、村八分による懲罰(≒自己責任)に値する、となる。そうして、現代版の村社会が、めでたく成立と相成る。
個人レベルで見れば、自分の意思や希望が一切反映されないとなれば、個人そのものは矮小の一途を辿る。本書には、既に矮小化の淵に追い込まれている今の小中学生の姿が、複数の角度から立体的に描かれている。
何とも不憫な世の中だ。
私も、せめて事態の改善に寄与したい所だが、その体力も、残り時間も持ち合わせがないことが、悔しくて仕方がない。
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ルポ 誰が国語力を殺すのか 単行本 – 2022/7/27
こういった事態を、文科省のエラいさんは「読解力の低下」として、各種の対応策を打ち出している。(←我田引水してメシのタネ化している。)
が、どう考えても、国語力の低下は、この現象の原因の、ほんの一端でしかない。子供たちの生活環境、家庭と学校とネットをひっくるめてだが、その劣化に起因する、広範囲かつ複合的な要因に依ることは明らかだろう。
著者は、実際に子供たちと接した経験を元に、子供たちの劣化をタイプ別に腑分けして、子供たちがこうなるに至る原因とステップを明らかにし、対処法をまとめている。
個人的な感想だが、やはり、親のレイヤの劣化は、加速度的に子供レイヤの劣化をもたらす。このところ、今の大人は子供っぽくていけない、と繰り返し文句を言っている私だが、子供が子供を育てられないのは当たり前だ。
親や先生が、子供に対して、自分に何かをしてくれと要求している場面を、よく見かける。(普通はこうするよね?という言い回しで「仕向ける」やり方が多い。) 大概の子供はいい子でマジメだから、その要求に従い、奉仕(頻繁に「貢献」と言い換えられる)することが、自分の社会的役割だ、と認識する。
上の人間に従い、群れに奉仕することが正しい行いで、それ以外の事、上に逆らうことは無論、異論を唱えたり、勝手に振る舞ったりすることは悪事であって、糾弾による断罪(よくヘイトの元ネタに応用される)や、村八分による懲罰(≒自己責任)に値する、となる。そうして、現代版の村社会が、めでたく成立と相成る。
個人レベルで見れば、自分の意思や希望が一切反映されないとなれば、個人そのものは矮小の一途を辿る。本書には、既に矮小化の淵に追い込まれている今の小中学生の姿が、複数の角度から立体的に描かれている。
何とも不憫な世の中だ。
私も、せめて事態の改善に寄与したい所だが、その体力も、残り時間も持ち合わせがないことが、悔しくて仕方がない。
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ルポ 誰が国語力を殺すのか 単行本 – 2022/7/27
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