バイクの本 ~ The Laverda Twins & Triples Bible2012/02/12 05:15

The Laverda Twins & Triples Bible: 650 & 750cc Twins - 1000 & 1200cc Triples


Laverda大型車種の解説本

######

今週で、ラベルダの連載もおしまいにする。
最後に、一番 一般的な資料を取り上げたい。

この著者は、グッチやドカなど、同様の著書が多数あり、本書はその一つである。Mick先生や小関先生のように、記憶ベースの当時の噂と、スペックの数字で何かを語ろうとするのではなく、過去の資料を再度当たったり、当時の関係者に取材したり、実際に自分で乗ってみたりした上で、新たに記事を書き起こす。バイクが出た当時の情報や印象だけではなく、今の視点からの俯瞰も交えるスタイルだ。通論(風評?)と違うという意味で、悪く言えば独断だが、自力で真面目に書いているので、最も信頼に足る資料とも言える。

内容は、
・モデルヒストリー (レースのヒストリも少々)
・各モデルの開発の経緯や、スペックの詳細
・関係者(経営者、設計者、販売者やユーザー)の意図、意向、意見など
・近年に撮ったものとおぼしき、美しいカラー写真

どんな状況下で、誰がどういうつもりで何を造って、結果、どうだったか。今、Laverdaの全体をざっくり見渡したいなら、この本が一番便利だと思う。

ただし、取り上げているのは750ccツインと3気筒の旗艦モデルだけで、500ccのミドルツインは含まれない。

目次

全150ページ程度だが、扱いを2気筒/3気筒に絞っているので、内容は充実している。ちょいとひと手間かければ、ありがちな30分番組の1クールも作れようか、という内容だ。(笑) 雑誌界で悪用されないで済んでいるのは、ラベルダの、市場でのパイの小ささ故だろう。

アスペクトが豊富なので、読者自身の視点次第で、いろんな読み方ができる本でもある。

・開発物語として
なぜホンダをパクったか、クランクが180→120度に変わったのはなぜか・・。開発者の移り変わりと、その背景、影響などを読み解く。

・経営の物語として
イタリアの、個人経営の小さなメーカーが、日本車の怒涛の構成に対し、どう勝負してきたか。

・年式・型式調査
自分が買おうとしているのが、何年式のどのモデルなのかを調べたい人。

・パラパラめくって写真を眺める
やっぱSFCはカッコいいよね~と。(笑)
昔のバイクはスリムでよかったなあ・・・。
(当時の「カッコよさ」のエレメントをよく体現している、と言っているだけで、評価誘導の意図はありませんし、お勧めしている訳でもありませんので。)

さて。
ラベルダの「本当」や「意図」について、こうだ!のような物言いは、結局はできなかったが。
(乗った経験がないので当然。)
もし、ラベルダの本当をご存知の方がいらしたら、ぜひ情報を発信して欲しい。(コメント欄にでも、何かいただければ僥倖です。)


Amazonはこちら
為替相場のせいか、Amazonがお腹すかせているのか、最近、価格の上下が大きいようだ。本書がそうなのかは凝視していないのでわからないが、洋書はしばらくウオッチして、底値を狙うのが吉かもしれない。
The Laverda Twins & Triples Bible: 650 & 750cc Twins - 1000 & 1200cc Triples

Laverda関係では、他にMick Walker先生の資料もあるのだが、この人の著作は「通り一遍でウソもあり」が多いので、よほど困ったとき(?)意外はお勧めしない。


コメント

_ moped ― 2012/02/12 08:57

まいどです。

ラベルダは絶対数が少なくて、様子を知ることが困難です。

90年代にラベルダが復活(?)して、スポーツツインをリリースしたころ、
実家の近くにラベルダ専門店がオープンして驚きましたが、
いまは、その店もありません。
(戸塚のNAPSの近くでした)

現車を見たことがあるのはトリプルだけというのもあり、クランクが、
奇異な180度から、一般的な120度になった経緯に興味があります。
(2+1気筒なのか、4-1気筒なのか)

ラベルダ連載が終了するのは、残念ですが、
新ネタあれば不定期掲載をお願いします。

_ ombra ― 2012/02/12 17:40

どうもですー。

ご指摘を受け、本書をナナメに読み直してみましたっ!。(笑)

70年代、3気筒の開発は、それまでの2気筒にプラス1気筒のコンセプトで始まったようで、MVのレーサーやTriumphなどの前例に習って、当初は120°クランクで始まったようです。ただ、振動にうまく対処できなかったのか、市販車は、ホントに2気筒プラス1の180°クランクになったようです。(私見ですが、製造ラインの都合もあったんじゃないでしょうか。それまでの設備が流用できる、とか。) しかし、市場に出してみれば、その独特の荒っぽさがウケて、Jota伝説になって行ったとか。
とはいえ、クランクの支持方法などで紆余曲折が続いて、エンジンの熟成には苦労したようです。

80年代に入ると、この品質ではさすがに見劣りしてきて、ラベルダは機体のブラッシュアップを図ります。担当は、先週、教えていただいた広告にあったMr.ボギー?、Guiseppe Bocchi という人。ドカやMVで働いていたエンジニアだそうです。120°クランクに戻して、エンジンをラバーマウントにして・・・あちらこちらと直しに直して、RGSになります。性格は丸まったけど、スムーズで乗りやすく、ハイスピードグランスポーツ、って狙い所でしょうか。あれだけ会社が傾いてたのに、よくやったなあ、と思います。

ざーっと流すと以上のような感じです。
詳細を書き始めると切りがなくて、書きたいんですけど、またWEBサイトがつくれちゃうので。(笑)
短編の構想でもまとまったら、また書くようにしますね。

_ 塚田貴光 ― 2019/10/14 15:00

ラベルダの3気筒180°クランクに興味があります。バイクには特に必要な特性かなと?!

_ ombra ― 2019/10/27 14:40

塚田様
いらっしゃいませ。 <(_ _*)>

論理的に素晴らしい設計が、乗ってみて楽しいとは限りませんし、型変わりで「進化」しているはずなのに、結局、初期型が一番良かった、なんてことも、これまた良くあります。

そこへきて、ラベルダですからね。
謎は深まるばかりです・・・

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://mcbooks.asablo.jp/blog/2012/02/12/6331343/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。