バイクの本 「ロングロマンティックロード」2014/03/30 06:15



ツーリング関連の古い本をさらってみようと、図書館の蔵書を当たってみた何冊かの一つだ。

「バイクの旅は、精神的な贅沢だ。」

おっ、来たきた。(笑)
こんな本、あったなあ。
と、そんな感じ。

バイクの魅力、楽しみ方、乗り方、そんなものを、いろいろと書き記した本である。

1981年の、古い本だ。
昭和56年。

当時、人々が作るコミュニティは、今のようには大きくはなかったし、
そこを行き交う情報のスピードは、もっと、すごく少なくて、えらく遅かった。

物と制約の、両方が少なかった。

時代はバブルの少し前、バイクブーム~レプリカ時代の前夜。
新型競争ったって、鶏と豚と牛を比べてみました、みたいな。
のどかな風景だった。(今思えば、だが。)

バイクに関する情報も、
 近所の鶏と、豚ニイちゃんと、走り去る牛の後姿と、
 それらを並べて比べてる変な雑誌とか、
 「何とか1500km」のような定番(★)の読み物、
後は、バイク屋か、同級生か。

そういう、よくある過去を流れて来た「玄人」が、自分の来し方(経験、価値観)や、その時の風景(結論やノウハウ)を語った本。

自分の経験を語りたいという爺くさい欲求と、後輩を育てたいというマジメな使命感と、上記★の「定番」なんかを紹介するガイドが、ぼんやり混ざっている。


そこは当時の大人なので、ある程度は「違う(嫌いな)やつら」にも気を使ってくれてはいて。今のその辺の読み物よりも、かなり懐が広いのだが。やはり、ある程度の我田引水は避けられない。

驚くのは、30年も前の本なのに、今のことを話しているのか?と思うほどリアルな話や、むしろ今より進んでいたのでは?という話が結構あって、時代の流れ故に、とっくに使いようがなくなった古い話や、廃れてしまった物事の類とは、かなり違って見えたのだ。


それは、時代は流れつつも、向きは変わっていないことの証左だろうし、 道具(バイクやウエア)や環境(道路)の違いはあれ、人間はさして変わりない、ということでもある。

当時の方が進んでいたな、というのは、 先週まで見ていたの と、同じことが書いてあるのだ。


脳科学の成果なんて、従前の経験則でほとんどカバーされてしまう、ということか。

昭和15年生まれの著者が、昭和56年に出した本である。
多少、理屈っぽいのだが、年齢的には、大人の走りと体力が程よくバランスした頃だったろうか。

題名と違って、ロマッティックなのは、ロードではなくて、著者のようだが。


なお、著者の趣向は、オフ車&林道にあったようで(当時は少なくなかったよね)、そちら方面の記述が充実している。

実は「ダイハードなジジイライダー(バイクは和製アメリカン)」を目指している私としては、ちょっと趣味が合わなかったのだが。(笑) しかし、参考やリマインドになることは結構あった。

こんなセンパイが近くにいたら、よかったなあ (うるさかったろうけど)、
と、今は思う。

さて。
そろ、ツーリングの季節である。


この本・・・
複雑な生まれのようだ。
(山海堂とグランプリ出版のあいのこ・・・)



Amazonはこちら
無論、古本しかありません。
ロングロマンティックロード―バイクツーリングへの招待 (1981年)



追記

本屋の店先で、ツーリングの「勧め」とか「ガイド」の類を、何冊かパラパラめくってみたのだが。結局は、ウエアの宣伝や、用品の紹介で、どうも、サポート対象はツーリングではなく、物欲の方ばかりのようだった。(みんなエイ出版だったのかな。)

こういう、シンプルに語る本は見なくなったなあ、と思う。
Webを探せば情報があるから、ということなのかもしれないが。
ノイズの方も多いし、ちゃんとまとまったのも、そうはないので。
やはり、価値はあったと思うのだが。

春になり、新型の、形が奇抜なバイクも動き出し、公道でも、よく目に付くようになった。

でも、昔のバイク方が、「風景」が良かった気がする。
と感じるのは、私が歳を取ったからだろうか。

劣化しているのは、私だろうか。
時代だろうか。


コメント

_ moped ― 2014/04/05 19:14

まいどです。
あれこれアドバイスしてくれる、どちらかといえばうるさい(笑)先輩ライダーは、中型初心者のときにいました。初めて伊豆に行ったツーリングを、今でも覚えてます。
その方は、友人の父親で、国産アメリカン(750cc)に乗ってました。

当時の用品やアパレルには、あまり関心がなかったように思います。金もなかったし、安価なもので、気に入るデザインも少なかったです。

一方で、ここ最近は、手っ取り早く、カタチから入る機会(誘惑)が、多いようですね。

_ ombra ― 2014/04/06 07:38

どうもです。

うるさ型の近所のオッサンが絶滅して、個人つながりで何かを始めたりフォローされたりする基盤も失われて、商業ベースの入り口からエントリー、という「あつらえられた」ケースが増えているんですかね。

何となく、ツーリングとか、走ることそのものへの欲求が、薄くなっているような気もします。

もうすぐシーズンですし、「ハーレー買って店のツーリング」っていう、あの大名行列がまた出てくるんでしょうけど。うまく走りたいとも思ってませんし、走ることが楽しいとも思っていないように見えます。

ハーレーを持っているのが嬉しい、みんなと一緒が楽しい、とそんな所じゃないんでしょうか。

同じようなケースは増えているようにも思います。
ドカだってCBRだって、乗り切れないのは、初めから明らかなので。

「カタチから」は構わないんですが。
「カタチだけ」は勘弁して欲しいです。

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