バイクの本 70年代(4) スーパー・ライダーになれる本 ― 2015/02/15 07:06

ヒストリカル・バイク本シリーズ。
1970年代、4冊目である。
昭和54年、1979年の刊。
70年代のスーパーライダーとは?
てか、「スーパーライダー」って一体、何?
一応、本書の冒頭で定義がされていて、免許などの資格、機体やウエアなどの装備、テクニックなどの能力などは無論、限界をわきまえ、努力を怠らず、存分に楽しむ、そういう姿勢も兼ね備えているバイク乗り、のことらしい。
今風には、上手いってだけじゃない「持っている」バイク乗り、てな所か。
といった辺りで粗方は見当がつくように、本書、中身の方は何のことはない、ただの入門書というか、指南書だ。
扱い方 (取り回しなど)
乗り方 (跨り方などの基本から、ライン取り、街乗りのコツなど)
ツーリング指南
ライディング各論 (オフロードを含めた本格的な乗り方からウイリーまで)
免許の取り方
用品や機体の選び方
雑学辞典(用語集)
まあ、裏表紙を見れば、内容は一目瞭然なんだけど。

でも、スーパーライダーの、正しい指南書なので。
「ヒザすり」はない。
「ウイリー」はある。(笑)
「外足荷重」も、少しだけ。
まず、初めはここから。
「正しい乗車位置」

ワシらオッサンは、その昔、中型の教習所で、必ずやらされたと思うが。
でも、今のバイクって、センスタないからね。できないよね。
もう、やんなくても良くなったのかな。
ニーグリップは、しつっこいくらい強調されている。
まあ、正しいんだけど。

「コーナーは肩から入れ」ってやつね。
いいライン取りだね、関係ないけど。

外国の偉い先生と、同じことも。
USE A LATE APEX

常に逃げ道を意識せよ

転んだらバイクから離れろ といったあたりも同じ。
あっ、ウイリーですけど。「こうやるんだ」そうです。(笑)

てな感じで、写真も多くて、分かりやすい本書ではあるんだが。
この顔・・・なんか似てんなあ、と思ったら。

文章の方もね、多分、この人がほとんど書いてるんじゃなかろうか。
(清々しく教育論をぶつ独特の書き口が、この人くさい。)
こんな時代から書いていたんだという、そのことにも驚くけど。多分、この時代に、真面目にバイクに乗って、その何たるかを文章で書ける人というのは、そうは居なかったろう。ただ、この書き口だと、何となく「オレがスーパーライダーだ」と言っているようにも見えるので。こういう点は、やっぱり反発を食らいがちだったようにも感じる。(笑)
当時ならではの記述(ハードや環境が今は変わっているので通用しないこと)もあるんだが。ほとんどは、今でも通じることばかりだ。
例えば、当時はタイヤもフレームもしょぼかったから、コーナーでのブレーキは「厳禁」だった。今なら何とかなる場面も多いと思うのだが、それが初めから身についてしまって、オーバースピードの辻褄をコーナーの奥で合わせる、のような乗り方が常態になってしまうというのは、「スーパーライダー」としてはよろしくない。コーナーの曲率を読めていない、未熟なレベルに留まってしまうからだ。これを避ける意味でも、寝てる最中にはブレーキを握り締めない癖を付けておくのは、悪いことではない。
公道では、タイヤやフレームなどの機体側の進歩に比べ、路面は平らで高μになったワケではないし、周りのクルマの反応速度なんかは、かえって下がっている(お年寄りが増えたりとか)ように感じることもままある。走行マージンは、ほとんど好転していないから、本書の内容は、やはり参考にできると感じた。
古い本なので、多少、表現が直接的すぎる部分もあるが(「バカ」連発とか)、全体としてはマジメな筆致である。
しかし、こういうマジメな文章をわざわざ出版するということは、当時、やはりバイクはこういう扱いを受けていなかったし、この手の情報が不足していた、と言えるのかも知れない。
こんなのが定価\600で売っていて、まだバイクに憧れるだけの中学生の頃から熟読できていたのだとしたら、かなり良質な資料になったろう。(バイクを無経験の若者に読ませるには、少し重荷かと思うが。)
無論、当ブログを参照されているような「既にスーパーライダー(のつもり)」のベテランの皆様が、リマインドや復習に使うのにも、良い教材だ。(知っている人なら、ああアレか、と納得しやすい。)
前にも言った気がするが、 最近、こういう本、即物的ではない部分、心意気のようなものまでを伝えようとする本が絶滅してしまっているのは、やっぱり、不幸だなとあらためて感じた。
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今現在、捨て値の古本が少々。何せ古いので、キレイ度は期待できなさそうだ。
スーパー・ライダーになれる本 (1979年)
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