読書ログ 「インフォメーション: 情報技術の人類史」 ― 2013/05/04 06:44
題名だけ見て、図書館に予約したのだが。
来てびっくり。500ページ超、さらに脚注という、分厚い本だった。
内容は、題名の通り。
情報といわれるもの(著者が情報だと思っているもの)の歴史(時系列の変化)を、まとめたものだ。
内容に合わせて、比較的細かく章分けにしてある。
しかし、各々の章、それだけでも本が書けそうな貫目がある。
( 前回の本 は、まさに一章分の膨らまし粉な印象。)
なので、こんなにブ厚い本なのに、何となく「駆け足」な感じがする。
その反作用で、好きに読み飛ばせる作りになっているのは好都合だ。通しで読まないと、前後の繋がりが掴めずに分からない感じがしないので、気になる章だけ飛ばし読みしても、あまり損をした気がしない。
以下、各章別に内容をさらってみる。
第1章 太鼓は語る
元は、音声による伝達だった。
記録の以前であり、韻は記憶を助けるためにあった。
しかし、鯨は本当にしゃべってるんだろうか。
第2章 言葉の永続性
文字、つまり、模様やパターンで意味を伝えるという手法。
絵画や数字との違い、または違わないということ。
大昔の文字が、今は暗号にしか見えない件について。
第3章 ふたつの単語集
文字のパターンとしての言葉が伝える内容が、普遍性を持たない件について。
第4章 歯車仕掛けに思考力を投じる
数字の並びに、意味を見出すことに夢中になった人たちの思索、または妄想。
それを、マシーンとして組み上げることで、何かを象徴したり、証明しようとした人たちの話。
第5章 地球の神経系統
電気や電波で、物事が伝えられることを、ひらめいた人たち。
その経路を、張り巡らせようとした人たち。
符号化の、とっかかり。
第6章 新しい伝染、新しい理論
電気信号のパターンが、特定の意味を織り成す、その仕組みを作ることの意味にかかわった、数学者、物理学者、技術者、事業家の話。
第7章 情報理論
暗号、コンピューター、パンチカード、そんな道具と、メッセージの話。
前回の本と同じ内容が出てくる。「オレ、コンピュータと結婚したんだ」:コンピュータは「計算係」(大学に勤務する女性とか)を指す単語だった、という話や、チューリングの話とか。
第8章 情報的転回
「脳とは何か」:電気パターンから意味を汲み取る仕組みとしての「脳」を、考えて、捉えなおすとは、どういうことか。
哲学的な未知の自覚と恐怖、興味や試み、努力、権利や、まやかしなどについて。
第9章 エントロピーと悪魔たち
後戻りはできない、ということを妙に小難しく言っているらしいのだが。真偽を理解するのは大変だ。
そういえば、エンタルピーってのもあったな。
フォトンとフォノンの違い、分かってる?本当に?みたいな??。
第10章 生命を表す暗号
我々の生命を司る、体内のタンパク質パターン、DNAの話。
第11章 ミーム・プールへ
遺伝子の作用、またはそのイメージの、若い暴走の話。
第12章 乱雑性(ランダムネス)とは何か
それは神の意思か、ただの偶然か、はたまた、細部まで見えていないことへの言い訳か。
アルゴリズムが未熟なのか、パラドックスが深遠なせいなのか、ただのプログラムのバグか。
第13章 情報は物理的である
量子/天文物理学と、DNA生物化学と、数学と、デジタル系算術の、くんずほぐれつ。 ひもとか波とか、そんな話。
第14章 洪水の後に
何かいろいろ言うやつはいるんだけど。とどのつまり、みんな、頭(脳)の中に作り上げた、電気パターンでしかないわけで。
それを、ただ寄せ集めただけでは、もっと混乱するだけで。(Wikipediaを見よ。)
それをカネにせんと試みるのは、事業家か、はたまた宣教師か。
第15章 日々の新しき報せ
たくさんありすぎて行き詰ることを後悔して、単純化を求めるのはただのノスタルジーで、与する必要はないのかどうか・・・とか、そんな話。
エピローグ (意味の復帰)
何かが何かを意味するというのは、何を意味するのか、という話。
( ずいぶん前に、一度書いた けど。)
話の筋として、近代史ばかりが厚い、不恰好な世界史のような感じだが。そこは仕方ないか。(時間的に近くなるほど、情報が厚い由。)
量は質を決めない。
プラクティカルに言うと、Googleに頼ってもムダだ。
質の根源を、本質という。
それが何なのかに取り組まないと、近づけずに(苦しいままで)終わってしまう。(意味が無い。)
そして、本質は、意外と「近すぎて見えない」類のものであるような気がしているのだが。
意味の意味を考えるなら、以前取り上げた この辺 の方が、間接的だが、役に立つような気がした。
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インフォメーション: 情報技術の人類史
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