バイクの上半分 28 ― 2014/03/09 05:19

本書の連載(?)も、そろそろ終盤である。
「動作プログラム」の横で、「意識」ができること。
まず、メンタルトレーニングの続き。
その効能の現れ方の一つとして、動作プログラムのそのものへの直接の関与ではなく、その導入部と言うか、周辺で役に立つ感覚、現実とは異なる、時として「ありえない」感覚を持つことが挙げられる。
何やらわからんと思うので説明すると、タイヤが何かを踏んでパリッ、のような「感覚」を持つとか、コーチのアドバイス「バイクを放り投げるつもりで切り返せ」といった、突拍子もない表現のことなんかを言っている。
言葉通りにバイクを放り投げられるわけではないのだが、そういうイメージでやるとうまく行く、こともある。端的に、方法が情報として伝達されるわけで、そういった一種の「拡張」を、メンタルトレーニングがもたらし得るのだと。
バイクの上で瞑想している内容が、実際に走っている時に、そのままの形で直接、役に立つわけではないのだけれど、その準備というか、下ごしらえのような役回りでもって、実際に乗るときに、動作プロの傍らで、何やかや、役に立つようになるのだと。
「こうやるとうまく行く」という導入イメージ、型とか、おまじないなども含むようだが、そういった、自分なりのやり方を、いくつか持っておくと尚よいと。
また、他人のそういうものを取り入れたりして、それまでの、自分の視点なり、やり方なりを変えてみると、悩みが一気に氷解して、いきなりラクになることもありうると。
面白い例が載っていて。
イギリス人ライダーは、雨を全く怖がらないのだそうだ。
なぜかというと、あのダッチウエザー(UKだけど)のおかげさまで、降っているのが常態だからだ。
イギリス人にとって、「降ったら乗らない」という選択肢は、ありえない。
だって、「常に降っている」のだ。(笑)
そうは言っても。
なんで、雨でもそんなにリラックスして乗れるの?という問いに、
著者が「腑に落ちた」一言とは。
「だって、物理的には同じだよ。」
タイヤのグリップのレベルが変わるだけで。
やることは同じだと。
いつぞや書いた 「Gモニター」 。
雨が降ることによる変化というのは、実際、グリップの限界を示す、この赤いエリアが取りうる範囲が、ちょっとばかし、小さくなるだけなのだ。
だから、雨が降ったときに我々がやるべきことというのは、普段使っている動作プロを、そのタイヤのグリップレベルに合わせて、多少「転調」するだけなのだ。
カラオケで、キーを合わせるのと同じようなもんなんである。
さて。
意識が行うべき仕事の、最後として挙がるのは。
「目的の明確化と、意思の継続」である。
各々の意図なり要望を、実際に、動作プロに落とすまでには時間がかかる。継続して、繰り返し行う意思を持ち続け、実際に、トレーニングをやり続けなければならない。
そのための手段も、いろいろあるのだが。
一番簡単、かつ明快確実なのは、
書いとけと。(笑)

Amazonはこちら
The Upper Half of the Motorcycle: On the Unity of Rider and Machine
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://mcbooks.asablo.jp/blog/2014/03/09/7240475/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。