◆ (単行本) 賢い人の秘密2023/06/18 09:26

挑戦的な題名だ。
裏読みすると、「賢くないキミに教えてやろう」とも読める。

しかしこれは、有用な本だった。

「賢い」とされる考え方の「構造」を明らかにせんとしている。

例によって、原題の方が内容に正確だ。
 THE SIX SECRETS OF INTELLIGENCE
 知性の6つの秘密

我々が「賢い」と感じるものは、知識ではなく、知性である。
どういう知性が賢いのか?
優れた知性には、特有の型がある。
それを理解し、意識して、実践できれば、誰でも賢くなれる。

賢い人の思考パターン
それを、6つのアスペクトから解き明かし、その応用についても触れている。

本書の全てを、諸手で賛成はできないかもしれない。
が、大変に参考になることは確かで、少なくとも有用な刺激になる。

懸念もなくはない。
ここに書かれるのは賢い人の例なので、ある程度は賢い人でないと理解が覚束ない可能性はある。
本書の内容を、部分的にでも共有できる程度のレベルでないと、「ああ、あれか」式に、自分の経験や信念に則った形で、すんなりと捉えられない。端的に、「ピンと来ない」で終わってしまう。

全くの初見だったり未経験のものに、人は共感しにくい。
スゲエな、と感心するのが精々だ。
例えば、飛行機の空中戦を地上から眺めているようなものだ。感心はすれ、その高みにまで登ることはないし、実感として理解することもない。

という私の心配は、きっと杞憂だ。
誰しも、程度の差はあれ、自分は賢いと、心のどこかで思っている。

その意味で、万人におススメできる。
もっと賢くなったり、少なくとも、スッキリ整理できたりするだろう。

現に、地を這う愚者であるこの私が、共感できる部分は結構あった。

  何かを意味するということに、どんな意味があるのか。

  真実が一つだと、なぜ言い切れるのか。
  (なぜ、真実は複数あってはいけないのか?)

本書は、そういった私の積年の疑問に、答えてくれた。

  哲学というのは、自分が何を考えているか考えることだ。

とは私の理解だが、同じことが本書にあって驚いた。

皆様なら、さらに有用に読めるだろう。


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