MOTO GUZZI MAINTENANCE BOOK2011/04/24 17:57



イタリアのバイクメーカー、MOTO GUZZI の整備を詳述した本

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比較的、まともな部類のGUZZI 本にも触れておきたい。

とあるMOTO GUZZI 専門店の、整備の内容を密着取材した本だ。かなりハイレベルの整備まで、写真付きで詳しく解説している。

店にとっては、いわばメシのタネともいえるこれらの情報を、いとも簡単に公表しているのには訳がある。たぶん、そう簡単にマネできない、と思ってのことだろう。
実際、SSTや専門的なケミカルの類も頻出するので、こりゃ無理そうだな・・・とザッと眺めただけで想像がつく。

「これを読んで自分でやろう」とはならなくて、「グッチの整備ってこんなんなんだあ・・」という読み方しかできない。

「古くてボロいGUZZI を安く仕入れて、自分でコツコツ仕上げて乗るんだ」なんてのは、実現性のない、はかない夢なのだ、と知ることになるだろう。(そこそこ仕上げることはできるだろうが、それが可能なやり手なら、この手の整備書は要らないはず。)

整備書と言えばHaynesあたりがメジャーだが、実際、これと同じような読み方しかできない場合が多い。車体の構造など基本的な予備知識として重宝することはあるが、実際に手を動かす段になると、頭より手が何を憶えているか、の方がものを言う場面が多いからだ。

(といった話は、以前取り上げたこの本で、巧く描写されていた
 → 禅とオートバイ修理技術 )

そこが、アマとプロの違いでもある。
作業場や工具を含めた環境を整え、真っ当な品質のパーツを、安定して手配できるサプライチェーンを確保し、実際に手を動かす技を持っていること。

それで食って行こう、というわけでもないのに、そこまでできるわけがない。
仕事の質として見てしまうと、やっぱりプロには勝てないのだ。

まあ、それで食っているくせに、適当な仕事で済ませている、いい加減な連中も実に多いのが、この業界の難しい所なんだけどね!。

そんなわけで、構造やなんやの理解の助けとして、役に立つ情報であることは間違いない。繰り返すが、これを読めばプロと同じ仕事ができる、といった期待はしない方がいい。もっと違う読み方、GUZZI の独特な構造を詳しく見てみたい、とか、実際にGUZZI に乗っている方が、不具合の原因を自己診断してみる材料とか、そんな際には役立つこともあるだろう。

ちなみに、GUZZI の歴史に関する記述は、随分古い情報に基づいているようで間違っている。そこだけは注意が必要だ。


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コメント

_ moped ― 2011/05/15 08:42

マニュアルは、読む人の想定スキルで、詳細度、範囲が変わってきます。

この本は、整備マニュアルではなく、モトグッチ専門店で分解整備をしているところを、オフラインで見るものと考えるべきでしょう。

大まかな流れは判りますが、細かな段取りや、特に5感による良否判断は、文章にするのは困難で、もちろん画像から読み取ることも同様です。

これは、巷にある電車や、旅客機のコックピットドリル本と同じで、間口を広げてくれる一方、決して深くはなく(深くすると専門書になる)、実際に操縦するには別のスキルが必要です。

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