読書ログ 「Made by Hand」 ― 2012/06/16 06:13
DIY初心者の奮闘を描く
#####
オライリーの「Make:」という雑誌があるが、その連載を一冊にまとめたもの(翻訳)である。
科学ライターだった著者は、ITバブル崩壊の折、懐の方も崩壊。その頃に、DIY的な世界に首を突っ込む羽目になったと。
もともと、「何でも買って済ます」というバブリーな生活スタイルに疑問を感じていたようで、バブル崩壊をきっかけに、その辺が発露したようだ。(以前取り上げた 「カネなし生活」 に似ている。)
科学ライターとはいえ、DIYの経験はゼロに近く、「自分ではできない」。
それが、いろんな人と関わり、こつこつと取り組むことで、技量と共に、自信を取り戻していく。
巷によくある、DIYのハウツー本とは一味違っていて、著者が技術で上達すると同時に、メンタルにも延びて行くのが、本書のニュアンスを篤くしている。(無論、ハウツーとしても読める。個人的には、エスプレッソのテクニカルなうんちくの辺りは面白かった。)
USには、「識者」が多い。アマチュアなのだが、ある特定の分野に精通した、大家が居るのだ。超ベテランなのだが、意外と若かったりもする。その層の厚さと多様さは、日本とは比べ物にならない。
そして、日本と違って、彼らは、その膨大な知識を、もったいぶりもせず、しれっと開示してくれることが多い。多分それは、彼らの自信の表れだし、表現することで価値を問う、彼らのスタイルなのだろう。
著者は、そんな人たちに、素直に接していく。
(その、柔らかな「下から目線」は、以前読んだ 「親切な」 とは逆のようだ。)
そんな風にして、著者は、成長(成熟?)していく。
(のは、以前書いた、 「インディアン」 に似てるかな。)
なにせ、ことがDIYだ。
安上がりに、楽しく、成長できる。
こんなにいいことはない。
そして、住環境の好転は、彼の感覚、「ものごとを感じる作法」そのものに、直接、作用し始める。
そんな風に変って行く彼の現実感が、妙にリアルに立ち上がって見える所も面白かった。
全然関係ないのだが、自由業(物書き)の時間の使い方が羨ましい一冊だった・・。
Amazonはこちら
Made by Hand ―ポンコツDIYで自分を取り戻す (Make: Japan Books)
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://mcbooks.asablo.jp/blog/2012/06/16/6481915/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。