バイクの本 70年代(3) スーパーバイク ― 2015/02/14 11:35
1978年の「スーパーバイク」の本である。
フィリップ・チャップマン (著)
田淵 義雄 (翻訳)
題名からすると、もとは洋書で、その翻訳本らしい。
どんなもんかと、楽しみにしてたんだが。
「ヤング・エンジニア・シリーズ」ということで、技術的なことを分かりやすい絵柄でもって紹介、説明するシリーズ物の一冊だった。クルマ、バイク、汽車の3冊があったらしい。
豊富な図と写真でもって、バイクの種類や機構のあれこれを丁寧に説明している。当時、バイクに興味を持った少年少女が、目を輝かせて見入ったと思しき内容だ。
絵柄が、これまた懐かしい。
子供の頃の、プラモデルの箱絵を彷彿とさせる。
(サンダーバード・・・小松崎茂氏あたりの世界。)
巻末に、「もっとくわしく知りたいキミのために」と、メーカーやディーラー、出版社などのリストが挙げられている。(プラモデルのプロターまである。笑) 子供たちの、知りたい、学びたいという心に応えようという、真摯さを感じさせる。
今の方が、環境としては、恵まれているのは疑いがないが。
当時の子供たちの方が、大切にされていたような気がするのは、気のせいか。
私も、子供の頃からメカっぽいものは大好きだったので。願わくば、当時のこの本の読者の一人になりたかったと今は思うが。
内容については、詳しくは触れない。
40年近く前となれば、いろいろと事情もある。
未来予想のクオリティなんて、きっと、今も大して違わないんだろうけど。
(今の予想も40年後に見れば、同じようなもんだろうということ。)
と言うか、最近、未来予想って、あんまり見なくなった気がする。
何となく、見通しが利かないとハナっから諦めていたり、この次に何が来る(べき)かをマジメに考えることがなかったりとか、そんな気分が蔓延しているような。
未来に夢をはせる余地があった分、今よりマシとも言えるのかもしれないなと。そんな余計な感想を持った。
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スーパーバイク (ヤング・エンジニア・シリーズ)
バイクの本 70年代(4) スーパー・ライダーになれる本 ― 2015/02/15 07:06
ヒストリカル・バイク本シリーズ。
1970年代、4冊目である。
昭和54年、1979年の刊。
70年代のスーパーライダーとは?
てか、「スーパーライダー」って一体、何?
一応、本書の冒頭で定義がされていて、免許などの資格、機体やウエアなどの装備、テクニックなどの能力などは無論、限界をわきまえ、努力を怠らず、存分に楽しむ、そういう姿勢も兼ね備えているバイク乗り、のことらしい。
今風には、上手いってだけじゃない「持っている」バイク乗り、てな所か。
といった辺りで粗方は見当がつくように、本書、中身の方は何のことはない、ただの入門書というか、指南書だ。
扱い方 (取り回しなど)
乗り方 (跨り方などの基本から、ライン取り、街乗りのコツなど)
ツーリング指南
ライディング各論 (オフロードを含めた本格的な乗り方からウイリーまで)
免許の取り方
用品や機体の選び方
雑学辞典(用語集)
まあ、裏表紙を見れば、内容は一目瞭然なんだけど。
でも、スーパーライダーの、正しい指南書なので。
「ヒザすり」はない。
「ウイリー」はある。(笑)
「外足荷重」も、少しだけ。
まず、初めはここから。
「正しい乗車位置」
あったねこれ。
ワシらオッサンは、その昔、中型の教習所で、必ずやらされたと思うが。
でも、今のバイクって、センスタないからね。できないよね。
もう、やんなくても良くなったのかな。
ニーグリップは、しつっこいくらい強調されている。
まあ、正しいんだけど。
「コーナーは肩から入れ」ってやつね。
いいライン取りだね、関係ないけど。
外国の偉い先生と、同じことも。
USE A LATE APEX
常に逃げ道を意識せよ
転んだらバイクから離れろ といったあたりも同じ。
あっ、ウイリーですけど。「こうやるんだ」そうです。(笑)
(オフロードライディングとしては)応用範囲も広いぞのような、ちょっと無責任ぽい解説。トライアル張りの走行パタンを想定しているようにも。
てな感じで、写真も多くて、分かりやすい本書ではあるんだが。
この顔・・・なんか似てんなあ、と思ったら。
やっぱり、あの万沢さんでした! (当時は「安夫」)
文章の方もね、多分、この人がほとんど書いてるんじゃなかろうか。
(清々しく教育論をぶつ独特の書き口が、この人くさい。)
こんな時代から書いていたんだという、そのことにも驚くけど。多分、この時代に、真面目にバイクに乗って、その何たるかを文章で書ける人というのは、そうは居なかったろう。ただ、この書き口だと、何となく「オレがスーパーライダーだ」と言っているようにも見えるので。こういう点は、やっぱり反発を食らいがちだったようにも感じる。(笑)
当時ならではの記述(ハードや環境が今は変わっているので通用しないこと)もあるんだが。ほとんどは、今でも通じることばかりだ。
例えば、当時はタイヤもフレームもしょぼかったから、コーナーでのブレーキは「厳禁」だった。今なら何とかなる場面も多いと思うのだが、それが初めから身についてしまって、オーバースピードの辻褄をコーナーの奥で合わせる、のような乗り方が常態になってしまうというのは、「スーパーライダー」としてはよろしくない。コーナーの曲率を読めていない、未熟なレベルに留まってしまうからだ。これを避ける意味でも、寝てる最中にはブレーキを握り締めない癖を付けておくのは、悪いことではない。
公道では、タイヤやフレームなどの機体側の進歩に比べ、路面は平らで高μになったワケではないし、周りのクルマの反応速度なんかは、かえって下がっている(お年寄りが増えたりとか)ように感じることもままある。走行マージンは、ほとんど好転していないから、本書の内容は、やはり参考にできると感じた。
古い本なので、多少、表現が直接的すぎる部分もあるが(「バカ」連発とか)、全体としてはマジメな筆致である。
しかし、こういうマジメな文章をわざわざ出版するということは、当時、やはりバイクはこういう扱いを受けていなかったし、この手の情報が不足していた、と言えるのかも知れない。
こんなのが定価\600で売っていて、まだバイクに憧れるだけの中学生の頃から熟読できていたのだとしたら、かなり良質な資料になったろう。(バイクを無経験の若者に読ませるには、少し重荷かと思うが。)
無論、当ブログを参照されているような「既にスーパーライダー(のつもり)」のベテランの皆様が、リマインドや復習に使うのにも、良い教材だ。(知っている人なら、ああアレか、と納得しやすい。)
前にも言った気がするが、 最近、こういう本、即物的ではない部分、心意気のようなものまでを伝えようとする本が絶滅してしまっているのは、やっぱり、不幸だなとあらためて感じた。
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今現在、捨て値の古本が少々。何せ古いので、キレイ度は期待できなさそうだ。
スーパー・ライダーになれる本 (1979年)
読書ログ 福野礼一郎あれ以後全集〈1〉 ― 2015/02/21 06:33
この人の本は、何回かログっているが。
( クルマ評論2014 、 スーパーカーファイル2 )
またログっとかないと、読んだかどうか、自分でも忘れるので。(笑)
一応メモしておく。
表題の「あれ以降」だが、何以降なのかは書いていない。
前書きによると、「今でも色あせない鋭い記事」を、カーグラの編集が選んで一冊にまとめたと。要は、2006年に、著者があちこちの雑誌に書いた記事の過去ログ集である。
当時出たクルマのインプレだけではなくて、オイル交換やネジの設計なんかの「本当を教えます」的な解説記事や、なぜかアンティーク時計の記事まで、いろいろと網羅している。
と内容をバラしてしまうと想像できるかもしれないが、10年前の新型車のインプレなんて、当時はナンボか鋭かったかとしても、今読めばどうこういうことはない。「本当を教えます」の方も、当ブログをご覧になっているような、アンテナ感度が高い識者の皆様には、既にご存知か、良くても察しがつく程度のことばかりだ。
その主張の要旨だけを簡単にまとめると、今のクルマは「自分で整備なんて壊すだけ」という設計にちゃんとなっているのだから、ゆめゆめ工具を持とうなどとは考えずに、「ただ買って乗るだけ」に専念なさいと、そんなことだ。
それは、著者がそう思っている(それが良いと言っている)、ということではなくて、メーカーの言うこと、乗ってみて感じた実際、そんなことを総合すると、今やそう言わざるを得ない、とそういうことなのだろう。だから、これが気に食わないからといって、著者を攻めるのはお門違いだ。
ただ、クルマをめぐる状況としては、メーカーは、ユーザーを「ただのサイフ」としてモデル化しており、市場としても、そのスキームで回っていることを、端的に表しているように思った。
そう思うと、他の記事、ハマーが滑ってフェラーリが転んだみたいな話には、余計に興味が持てなくなる。私は途中から飽きてしまい、適当に読み飛ばして、結局、読むのを止めてしまった。
こんな本を、いっぱしのクルマの雑誌社が、今、出してくるということに、どんな意味があるのか。私には分からない。
ちなみに、この著者の場合、「1巻目で終り」という例が、他にもとても多いから、表題に「第1巻」とあるこのシリーズが、2巻め以降も続くのかは、きっと、わからないのだろう。
そうそう。
この著者は、バイクをバカにするのでも一貫している。
「バイクのように単純で制御範囲が狭い原始的なエンジンを、低負荷で使っている場合はともかく、作動条件が遥かに厳しく、設計も制御もずっと厳密なクルマのエンジンでは、この限りではありません。」
いつの話だろうなあ・・・キャブ世代のバイクと比べている?。
まあ、高級車とバイクでは、チップセットの値段も技術的な格も全然違うし。
「低負荷」の方も、例えば100km/hで走る隼の負荷は(300km/h出るとして1/3、ざっくり2乗として1/9だから)1割程度と確かに低い。でも、これはフェラーリ辺りでも同じはず。
いや、著者の主張が実際と違うとか、そういうことが言いたいのではなくて。
礼ちゃん(知り合いかよ)の言い口は、そもそも、この一種 優越主義的な視点が、そもそもの特徴だった。オレはこれだけ知っている、ホントはこうなんだよ知ってっか?、そういう著者の上から目線に読者が同調できるから、気持ちよく読める。まあ、全てがそうではないとも思うが、全体として、そういう傾向は否めなかったと思う。
それが、供給側のスポークスマンになってしまったら、どうなるのか。上述のように、メーカーは、ユーザーを温かみのある生きた人間として扱っているとは限らない。それに同化してしまうことは、読者にとっての魅力を、削いでしまうことにはならないか。
実際問題、真実というのは、一つとは限らない。メーカーから見た真実と、ユーザーから見た真実は、多くの場合で異なるものだ。なのに、「向こう側」に行ってしまった礼ちゃんは、昔のように面白く読めるだろうか。例えそれが、ある種の真実を伝えていたとしても。
そんなエッジに、10年近くも前から居たのだな、と。
私が本書から読み取った事実というのは、そんなことだった。
あの、「よく調べ、考えられた毒舌」の矛先が、こちら側を向いたままで、もう鋭さを取り戻すことはないのかなと思うと。残念ではある。
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福野礼一郎あれ以後全集〈1〉
バイクの本 70年代(5) オートバイの整備は難しくない ― 2015/02/22 06:41
昭和54年6月の刊。(1979年)
バイクの整備のいろは、ユーザーが行えるレベルの点検~整備について、紹介した本だ。
「紹介」である。「解説」というほど詳しくはない。
こんな本のニーズが、この当時からあったのか、よくわからない。
GX500、RD50、MR50、GT185などの車両を教材に、写真をふんだんに使いながら、車体各部の整備のやり方を説明している。
しかし、その説明が、端的に「構造がこうだから、こう扱うんですよ」というだけで、具体的に、どうやればOK、どうなれば完了、といった指針は、ほとんど示されない。だから、モノの構造や、作業の手順を大まかに学ぶにはいいのだが、実際に手を動かそうとすると戸惑う。多分に教習所的というか、入り口を指し示すだけで、その意味では、表題に偽りはなかった。
ということは、レベルとしては ヘインズの入門書 辺りと変わらないということで、この当時にこんな本が出ていたことは、もう少し評価されてもいいのかもしれないが。
今の我々とって有用な用途としては、旧車のレストアを自分で手がけようとしている人の入門書、といった辺りに限られそうだ。
ただ、それ用には、 もっといい本を後ほど取り上げる ので。そちらをご参照頂いた方がいいだろう。
ちなみに、この著者は、別の本( オートバイの科学―トータルバランスの限界を求めて )も出していて、こちらもまた、別途取り上げる予定だ。
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多分、これじゃないかと思うんだが。表紙が違う。
オートバイの整備はむずかしくない (1978年)
同じのがもう一つあるが。解説にカタナやインボードのVTとあるから、80年代?版違いか?
オートバイの整備はむずかしくない
同じ題名で同じナツメ社。これも同じか?1994年版?
バイクの整備はむずかしくない
よくわかりません・・・。
バイクの本 70年代(6) 世界のオートバイ・スーパーバイク ― 2015/02/22 06:56
70年代の最後を飾るのは、当時のムック本である。
目次 (クリックで拡大)
当時のバイクのあれこれを紹介してくれているのだが。
やっぱり、扱いとしてはハーレーが圧倒的で。
ご当地USAのあれこれはもとより、由緒正しき日本のハーレーおじさんが笑わせ・・・もとい、イケてたり。(笑)
結構、詳細な歴史物語があったり。
これもね。マニアがいらっしゃいますよね。
そうそう、この緊張感。
究極のサバイバルバイク(?)、いえ、仕事ですしね。洒落になりません。
(クリックで拡大)
さらに続いたりします。マニア垂涎?。
おいおい。
何だかよお。
最近のバイク雑誌なんかより、よっぽど面白いじゃんかよお!(笑)
あっ、グッチも一応、載ってます。
元祖に近いベネリ、元祖の方の900SS、元祖V7-Sportと。
何だろね、この残念なカラーリングは。(実物じゃなくてイラストだけど。)
全然関係ございませんが。単なる広告でございます。
こちらも、マニアがいらっしゃりそうですな。
(いえ、私も正直、見てみたいです。笑)
昔はスッチーが高級職だったんだよねえ・・・。
と、そんなわけで。
ただの広告またはカタログを集めただけ、のような昨今のムック本よりも、よほどちゃんとした作りで。かなり楽しませていただいた。
定価\1800と、安くはないのだが。広告は上記のような自社本の紹介だけなので。むしろ、頑張ったと誉めるべきレベルかと思う。
エイ出版あたりは、この辺をよくよく鑑みて、心から懺悔の上、ゼロからやり直すべきだと、再度書いておこう。
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上ではだいぶ誉めましたが。ぼったくりに応じるほどではありませんよ。
スーパーバイク―世界のオートバイ (1979年) (ワイルドムック)
あっ。ついでに (笑)。
世界のスチュワーデスカタログ (1978年) (ワイルド ムック)
世界のスチュワーデスカタログ Wild Mook21 [雑誌]
世界のスチュワーデスカタログ (1978年) (ワイルド ムック)
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